良き時代ゆえに

ソニーの新経営戦略に思うことというコラムを読んでいて,思うところがあったので今日はそれについて.SONY自体は関係ない(なくもないのか・・・?)ですが.

ここ最近,コンテンツ業界に当初の勢いがなくなってきています.例えば,音楽業界に関して言えば,1990年代後半のようなミリオンヒット作品が連発するような時代ではなくなりました.これについて,業界側(レコード会社,etc)はWinnyなどによる海賊版の横行が原因だと声高に主張してきました(現在も?).確かに,WinnyなどP2Pアプリの出現が大きな影響を与えたのは事実だと思いますが,どうしてもそれだけが原因のようには思えません.また,昔に比べて,今は良い作品がないからだと主張する懐古主義者の言葉にもどうも共感を持てません.個人的には,昔と比較して作品の質が(上がることはないにしても)下がり続けるというのはどうも納得できません.

この答えのひとつとして,上の記事の誰もが望みの製品を入手できる時代にが当たるのではないかと思います.音楽に関しても,機材の充実など諸々の要因によって,全体としての作品の質は向上してきています.ですが,そのために作品間の差も縮まってきつつあります.ヒットを起こすためには絶対的な品質の良さももちろん必要ですが,それ以上に他との相対的な差(優位性)が必要になります.全体のレベルが底上げされた結果,他と差をつけることが難しくなってきており,ヒットが生まれにくくなっているのではないかなと思います.

実際には,ヒットする要因は,作品の良さ以外にも様々なものがあります.その時代の流行にあわせたり,広報活動をうまくしたり.また,そのアーティストが今までに築いてきた人気も大きな武器になります.これらの要素をうまく使えば,他との差別化を図ってヒットを飛ばすのはまだまだ(恐らくこれからもずっと)可能です.ですが,作品の品質だけにこだわって成功させるのは,もはやかなり難しい域に達してきているのではないかなと思います.