選挙権のロジック

今日は,少し選挙権というものについて.日本では,20歳以上の国民に等しく選挙権を与えられます.それがどんなDQNであったとしても,20歳になれば自動的に選挙権を手に入れることができます.そして,この制度のせいでしばしば議論が起こったりします.

さて,それではなぜ,等しく全員に選挙権が与えられるのでしょう.Simple - 憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向な日々 -では,等しく選挙権が与えられる理由を以下のように記述しています.

支配者は、強い支配力を求める。大衆を動かしたり、口を封じ込めるための権力が、支配者には必要である。そのためには、「説得」「暴力」「威嚇」などが必須である。

・・・(中略)・・・

一部の人にだけ投票させようが、国民全員に投票権を与えようが、選ばれる人は同じである。しかし、国民全員に投票権をあたえることで、「みんなが選んだ」という説得が可能になる。これにより、「説得による支配」という、ある意味では恐ろしい権力を、支配者が持つことができるのである。

http://simple-u.jp/pd200311.html#2003-11-09

統計的には,1%のランダム抽出で選ばれた人のみで選挙を行ったとしても,ほとんど場合,同じ結果になるそうです.それにも関わらず,等しく全員に投票権を与えられるのは,政府(支配者)が,``みんなが選んだから''という説得による支配が行えるようになるからだと言えます.

これが,選挙権が等しく与えられる第一の理由です.ですが,選挙権が等しく与えられることにはもう一つの側面が存在します.それは,``投票しなかったから''という説得による支配です.

新聞やテレビ,Webサイトなどでも``投票率が下がっている,皆はもっと政治に関心を持つべきだ''という話を耳にする機会は数多く存在します.そして,政治に興味のある人やジャーナリスト,マスコミなどはややもすれば,``選挙に行かなかった者には,政治に口出す権利などない''といった論調で批判を行います.この主張にはある程度の正しさが含まれているように感じられるので,選挙に行かなかった人はその主張に対して反論しにくくなります.つまり,政府(支配者)からして見れば,選挙権を皆に与えておくだけで,勝手に大衆(被支配者)が大衆を説得し支配しやすい環境を作ってくれるという状況が生まれるということになります.

選挙権が等しく全員に与えられる理由,それはどちらに転んでも支配者に有利に働くようになっているからだと言えます.