Wiiによるイノベーションのジレンマ

任天堂は,どうやったらゲームを楽しんでくれるユーザーを増やせるか,この命題に数年間,挑み続けています。私も技術屋なので,技術を否定する気はまったくない。新しい技術が出て,それを応用するのはすごいことだと思う。ただ,もっと絵がきれいになっても,これ以上ゲームをやる人は増えないと危機感を覚えた。それじゃ,どうすればよいか。そこで目を付けたのが,ユーザー・インタフェースだった。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060512/237702/?ST=newtech&P=1

任天堂岩田社長の言葉で,ひとつ思い出したことがあったので,今回はそれについて.

上の図は、この本に書かれたコンセプトを一般化したもの。ブルーのラインは、あるテクノロジーがユーザーの要望を聞きながら進化していくうちに、(声がでかいパワーユーザーの声ばかり聞こえてくるために)その要求を通りこして必要もなく肥大化してしまうことを示している。そうしているうちに、赤い線で示したdisruptive technology破壊的テクノロジー)と呼ばれる、機能的には遥かに劣るが、格段に小さかったり安かったりするテクノロジーが現れ、市場を奪ってしまう、というセオリーである。

・・・(中略)・・・

「本当に次世代ゲーム端末なんて必要なの?携帯電話とか、ネットに繋がった他のデバイスに提供する新しいデジタル・エンターテイメントの方が面白いんじゃない?」

http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/post_2.html

ここ最近は(PS2発売以降),確かに私も上記で述べられているような疑問をしばしば感じていました.次世代ゲーム機と言われている(言われていた),ゲームキューブXBOX360,そしてPS3は本当に必要あるのか?もはや,ハードとしてはPS2で十分じゃないのか?と.また,ソフトに関してもFFVやDQVの頃は,それが発売するたびグラフィックの進化に驚いていました.しかし,現在ではそういった驚きもあまりなくなり,“グラフィックだけ”という批判さえ出ている状況です.その一方で,(これは別の要因も大きいのだろうが)“脳を鍛える 大人のDSトレーニング”などを中心にニンテンドーDSが大ヒットするなど,ゲーム業界では,今まさにイノベーションのジレンマが起こっています.“Wii”がこれに続いて新たな破壊を起こすのか,楽しみではあります.