久々にコミュニケーション能力に関しての検討です.今回は,“対日本人”で求められるコミュニケーション能力とは具体的にどのようなものか?について少し整理してみます.また,特に明記していませんが,今回は“同僚と仕事をこなしていく上(同じプロジェクトを進めていくなど)で必要となるコミュニケーション能力”を想定して書いています.
今回は,コミュニケーション能力を聞く能力と話す能力に分けて,それぞれについて検討していきます.
聞く能力
「聞く」では、相手が言っていることを理解するのは前提条件だが、相手が口に出してない感情や思考をうまく推測できることが求められる。
なぜ,相手が口に出していない思考をうまく推測できなければならないのか.これは,相手が敢えて口に出さずに何かの意味を暗に含めるという場合もありますが,多くの場合は,“相手(話し手)の説明が完全ではないために曖昧な部分が存在する”ためではないかと考えられます.つまり,相手の説明が曖昧であるために捉え方によっては別の意味になる場合があり,その結果,話が食い違ってしまう.そのため,聞き手にはその曖昧な部分を正しく補完し,話が食い違うことのないようにしなければならない,となります.
以上から,コミュニケーション能力のうち聞く能力は,以下の2つとなります.
- 相手の話の中で,曖昧な部分(解釈の仕方によって異なる捉え方が出来るような発言)を探す
- いくつか存在する解釈の仕方の内,話し手が意図している解釈の仕方を推測する
この時,2. に関してはなかなか推測は難しいという場合も多々存在します.そのため2. に関しては,自分がそうであると思うような解釈の仕方をまず選び,“○○○とありますが,それはXXXという意味ですか?”と会話中に質問を混ぜていくという方法が良いのでは,と思います(質問の頻度にもよるかもしれないが).
話す能力
「話す」では、一方的に自分の話したいことだけを話すのではなく、相手の要求を的確に把握し、提供することが求められる。
聞く能力に比べて話す能力を考える(コミュニケーション能力における話す能力とは何か?を考えること)のはなかなか難しいのでは,と思います.ここでは,私の思いつく限りできるだけ整理してみます.
まず,話す際に話し手は聞き手から何を得なければならないのか?これに関しては,2つ挙げられるのでは,と思います.すなわち,
- 理解
- 共感
の2つです.この2つは似ているようで違うものです(理解はできるが,納得(共感)はできない,と言ったように).コミュニケーション(相互理解)能力といった場合,字面だけを見れば相手の理解が得られればそれで良いように思えます.しかしながら,実際には共感を得るということも重要になってきます.
それでは,次にどのように話していくのか?これに関しても,2つに分類します.
- 論理的
- 感情的
“相手の理解を得る”ということを主眼に置く場合,一般的には論理的に話す方がうまくいきます.ですが,“相手の共感を得る”ということを主眼に置く場合には,必ずしもそうとは限らず,“自分の感情を前面に出して話す”方がうまくいくような場合も多く存在します.
さらに,話す場合においては相手の感情も考慮する必要があります.特に,相手の意見に対して反対するような場合では大きな問題になります.“自分の(反対)意見を正確に相手に伝えること”と“相手の心象を悪くさせないこと”は,必ずしも相反するものではありませんが,それを実際に両立させるのはなかなか難しいように思います.そのため,“どこまでなら相手の心象を壊さないか”を見極める必要があります.ここからも,コミュニケーションにおいては,“相手の理解の他に共感も得なければならない”と言えます.
まとめ
以上から,“コミュニケーション能力とはどんな能力か”についてまとめます.
- 聞く能力
- 相手の話の中にある曖昧な部分を的確に発見する
- 必要に応じて,その曖昧な部分に対して質問をいれる(推測に役立てる)
- 話す能力
- コミュニケーション本来の意味である“相手の理解を得る”に加えて,“相手の共感を得る”ということも重要視されている.そのため,相手の共感を得る話し方も必要となる
- “相手の共感を得る”ということを考えると,必ずしも論理的に話すのが最善であるとは限らない.場合によっては,自分の感情をうまく活用して話す
- 話す際に,相手の感情を考慮する必要がある.相手の心象を壊さずに自分の意見を正確に伝えることは不可能ではないが難しい.そのため,落とし所を見つけることが必要となる
まだまだ足りない部分も多いとは思いますが,少しでも実態がつかめれば.