システムの発展とノイズの増加

好奇心と怠惰の間:これはspamですか? に関連するエントリを読んでいて思うところがあったので、今日はその話題。

まず、いろいろなところで指摘されていますが、“ホットエントリ”というシステムは、何らかの脆さ(?)を持っているなということ。今回は、ブックマークしている人もブックマークされている日記も“講義だから仕方なくやってる”感が非常に感じ取れるので、“spamだ!?”で終わっているのですが。例えば……

「今日からマイミクの皆と一緒に、日記ははてなで書くの☆」
はてなブックマークって、面白かった記事をブックマークして友達と共有するんだって!」
「XXXさんの昨日の日記、ちょーうけた!ブックマーク☆」

最近はmixiがマイブームなので(w。上記のような感じで、マイミクが100人位いるあるmixiユーザが皆をけしかけて、はてなを使うようになったとしましょう。そういった人たちが書いた日記に対して“そういった人たちが”どんどんブックマークしてしまうと、ホットエントリは“その集団には有益だが、それ以外の人には何の価値もないエントリ”が数多く挙がってくることになります。100人程度の集団であっても、ホットエントリはそれなりに大きな影響を受けてしまうという訳です。

では、今回のようなノイズを発生させる集団の参入は憂いべきことなのでしょうか。個人的には、ここにはメリットとデメリットの両方が存在すると思います。メリットは、はてなユーザの絶対数の増加に伴うはてな自体の発展、そしてデメリットはノイズの増加です。一見しただけでは、“ノイズの増加が多すぎて割りに合わない”と感じてしまいますが、“取り合えずはてなを使い始める”ことによって(はてなに)目覚める人も出てくることが期待できます。はてな(特にはてなブックマーク辺り)のシステムや“使い方”、さらにははてな村の事情などは、実際にある程度使ってみないと分からないものだ、と思います。

おそらく一番重要なのは、濃い人向けワールドから一般人向けワールドへの転換点を「いつ」仕掛けるか、「どういうサービスを切っ掛けに」仕掛けるかであろう。そして仕掛けるポイントを一度逃してしまうと、どんどん濃い濃いワールドに向かっていってしまい、二度と一般向けサービスには転用できなくなってしまう危険性がある。

そういう観点から「はてなキャズム超えに失敗したのではないか?」と思うわけである。はてブキラーコンテンツになりうる、と判断できるだけのブクマ数が集まった時点で、一般人向け施策を考えるべきだったのかもしれない。

CGMサービスがキャズムを越えることの難しさ 〜はてなはキャズム越えに失敗した!?〜 - キャズムを超えろ!

はてなは一般受けしない、と良く言われます。上記のような講義に用いられたことによって参入してきたユーザなどは、その溝を越える足がかりの一つになるのかもしれない、と感じています。今の位置にこのまま留まるのか、それとも“はてなの質も地に堕ちた”と嘆くユーザを量産してでも一般化していくのか、気になるところではあります。

最後に、このようなノイズの除去は利用者側の仕事かな、と個人的には思っています。Googleなどの検索エンジンにおいても検索結果には大量のノイズが含まれていますが、それにも関わらず“それなりに”利用できているのは利用者側のノイズ除去能力に依る所も大きい、と思います(もちろん、Googleもシステム的にノイズ除去できるように頑張っているので、はてなにも頑張って欲しいところではあるけれども)。ホットエントリにおいても、タグなどをうまく利用してノイズフィルタリングするためのTips(参考URL参照)も数多く紹介されています。ノイズ発生源を批判することによってノイズの発生自体を防ぐのも一つの手段だとは思いますが、ノイズが発生したとしても問題なく利用できるような自衛手段を身に着ける方が、双方に取って幸せかな、と思います。