統計データの解釈に潜む罠

漢字の書取能力が低下している?

今日は,小2の3割「一つ」書けず=ワーストは「支」など−漢字習得度・民間調査という記事から.記事自体の内容についての感想は,tnfuk [today's news from uk+]:今そこにあるデイリー・メイル(1)で詳細に分析されていましたので,簡単に.

“漢字の書取を間違う場合”には,以下の4パターンが存在します(もっとあるかもしれませんが).

  • 出題された言葉の意味が分からない
  • 書くべき漢字を知らない
  • 書くべき漢字をど忘れした
  • 書くべき漢字が紛らわしい

一つ目は,漢字というよりもそもそも出題された言葉の意味が分からないケース.記事で紹介されていた“ひとつ”を答えさせる問題もこのケースに当てはまるのではないかと思います(“ひとつ”が“1”を指していることを知らない).二つ目と三つ目は似ていますが,違いは(正解の)漢字を見せられた時に思い出せるかどうか.この差は読み問題で生きてきて,前者の場合は読み問題として出題された場合でも間違う可能性が高いですが,後者の場合は読み問題なら正解できる,という具合です.後者は,近年,PCなどの電子機器に依存する人が増加した結果,多く見られるようになった傾向でもあります.最後は,例えば,“人”と“入”のように似たような形の漢字が存在する場合や“専”と“博”のように形が微妙に異なる場合(この場合は,右上に点を付けるかどうか)などがあります.

統計データの罠

さて,今回の記事は,統計データの解釈ミスが招いた結果であろうと思います.統計データを用いて他人を騙す場合,以下の3つの方法が考えられます.

  • 質問を工夫する
  • 回答対象者を絞る
  • 統計結果を恣意的に解釈する

これらは,意図的な場合もあれば本人も気付いてない場合もあります.今回の記事で言うと,筆者は“最も簡単な漢字であろう“一”も書けないとは”と主張したかったのでしょうが,ここでは“漢字を知らない”という要因以外に“言葉の意味自体を知らない”という要因が考慮されていません.それを考慮した場合,少なくとも現在の小学二年生にとって“最も簡単な設問”ではないのではないだろうか,と思います.

“嘘には3種類ある.嘘,みえすいた嘘,そして統計だ”という言葉もある位,統計データは騙されやすいものです.統計データや統計データを用いた文章を読む場合には,よく気をつけたいものです.