明確な基準の必要性

乗客が乗れなかった原因を“乗客(高校生)のマナーの悪さ”とそれに対する反論の記事です.“マナーが悪い”と指摘されたことに対して反論が出た(もしくは,反論が記事になった)のはなかなか珍しいケースではないかな,と思います.

さて,今日は上記の記事と次のネタを見て思ったことについて.

問題が起きていたのは10日朝8時のJR池袋駅埼京線ホーム。入線してきた新宿方面ゆき快速に通勤客らが乗り込もうとしたところ、乗車率がわずか200%だったにもかかわらず乗車が不可能に。車掌の判断でホームに約2400名を取り残したまま発車した。

電車の乗車率はいわゆる“上尾実験”により、最低でも300%が可能なことがわかっている。JR東日本の調べによると乗車率がこれを大幅に下回った原因は
「乗客が詰めなかったため」
当時車内には、社畜のくせにいっちょまえに二本足で立っているモラルの低い者が多数おり、これが取り残しのもととなったようだ。

http://bogusne.ws/article/41506918.html

上記は“乗客(高校生)のマナー悪さ”を原因にしたJRへの皮肉がこめられたネタ記事ですが,この記事を見て元の記事よりもマシ(?)だなと感じた点が一つあります.それは,“マナーが悪い”と判断した基準を明確に示していることです.

上記のネタ記事では,乗車できなかった人が現れたときに乗客のマナーの悪さを原因とする基準値を乗車率300%に設定しています.このように,JR(サービス提供者)が想定している最大乗車率とトラブルが発生したときの乗車率をともに明記されれば,そこからJR側が設定した最大乗車率は適切なのか,などといった観点から非がどちらにあったのか(どちらの非の方がより大きかったのか)を議論することが可能となります.

ところが,元の記事のように双方の“体感”のみを根拠にして議論した場合には泥沼の言い争いが続き,結局どちらに非があったのか分からず,うやむやのまま議論が終わります.双方とも相手に非があったと思ったまま議論が終わる訳ですから,どちらも現状を改善しようとはしません.その結果,今回のトラブルの教訓をまったく生かせず,また同じトラブルを起こしてしまう可能性があります.

どちらに(より大きな)非があったのかは分かりませんが,問題提起をするのならば,“マナー”という曖昧なものだけではなく,もっとしっかりとした基準も提示して欲しい,と思いました.

追記

増毛発深川行き普通列車(1両編成)に午前6時48分、留萌駅留萌市)から乗った。定員74人(座席数とつり革の数)の車両に乗客は7人。途中駅で2人増えた。午前7時半、石狩沼田駅で約70人の高校生が乗り込んできた。道立深川西高と深川東高の生徒たちだ。座席がすべて埋まった。


 2駅先の秩父別駅でも55人がホームで待っていた。大半が高校生。普段は無人駅だが、この日はJR職員や両校教員の姿がある。乗降は前方のドアから。最後部にいた私はすぐに身動きができなくなった。床にはカバンを置く余裕もない。約10分後、終点の深川に着いた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070511-00000019-mailo-hok

実際の数値が出ていました.そして元記事にも数値出ていた罠.消そうかとも思ったけど,残しておきます.

定員74人に対して乗車数約136人で,乗車率にして約180%.ただし,この日は誘導(乗車指導)をする人がいたため,その分は多少割り引く必要はあると思います(この乗車率をマナーやモラルのみで維持するのは難しく,東京などのようにJR側が誘導する(押し込む)駅員を配置すべきではないかという指摘が考えられる).これに対して,問題の日は定員64人に対して乗車数約90人で,乗車率150%.仮に,全員が乗車できていたとすると乗車率は190%.マナーの問題にするには厳しい数字のような気もしますが,さて.