スターシステムは皆のため

遼クンに盗聴工作、TBS非常識取材.最近,2chだけでなくマスコミ上でもTBSの不祥事の記事を頻繁に見かけます.TBSが特別にひどいのか,TBS叩きが流行しているのかは分かりませんが,なかなか楽しませてもらっています.

さて,これに関連する興味深いエントリを見つけました.

TBSのスタッフがマナーにも劣る行為をして取材しようとした姿勢は批判されるべき事、でもそこまでさせたのはそれだけ一般人がこの若者にある意味傍若無人なまでの注目を浴びせているからに他ならないと思うんです。選手を競技者として見ないでスター扱いする一般人、彼女(彼)らにとっては斉藤佑樹石川遼ペ・ヨンジュンと変わらない存在、爽やかで可愛いスターがたまたま野球場やゴルフ場にいたってだけでそのスターがどんな競技をやっているかなんてことには興味が無いのだろう、スポーツ選手は芸能人と違ってイメージで生きているわけではない、だから観る人が多ければ誰でも良いと言うわけではないのにね・・・。

http://blog.livedoor.jp/drkato/archives/50186558.html

TBSのやったことは非難されるべきことですが,TBSにそこまでやろうと決心させたのはミーハーで教養のない一般人です.マスコミは,その一般人の要望に応えて行動したにすぎないので,一般人がスター扱いを続ける限りこれからもマスコミは同じ(ような)ことを行うでしょう.また,このような一般人は,スターがどんな競技をやっているかなんてことには興味が無く傍若無人な振る舞いを続けるため,選手や教養あるファンに多大な障害をもたらします.まさに百害あって一利なし.

しかし,不幸にも,このような教養のない一般人は確実に社会に必要とされています.

多くのスポーツ競技は,一定数のファンの獲得とある程度の世間の注目を必要とします.あまりにも注目度が低い場合には,スポンサーが離れてしまうなど競技の運営の存続自体にも関わってくることもあるためです.しかし,ファンの獲得に失敗したケースは数多く見かけます.そういった場面では,教養のあるファンから,“運営側がPRを怠っていたせいだ.運営側は,もっとその競技の良さを世間にアピールするよう努力すべきだった”という批判も良く目にします.しかし,それは本当に可能なことなのでしょうか?野球やサッカーなど国民的スポーツと呼ばれるほど人気の高い競技であるならば,そういったPRだけでもやっていけるのかもしれません.しかし,マイナーな競技においても,本当にその競技の良さを真摯にアピールするだけでうまくいくのでしょうか?

随分昔のことになりますが,サイレンスズカの金鯱賞の映像を見せて,これがいかに素晴らしいことかを切々と語ったことがありましたが,それに対するコメントは“へー,すごいね”の一言でした.これを見て感動できるのは競馬に興味を持っているからであって,興味のない人からすれば何が素晴らしいのかまったく分かりません.そのため,まずは興味を持ってもらうことから始めなければならないのですが,他人に興味を持たせるのは非常に難しいものです.

マイナーな競技の場合,その競技に興味のある人を集めるにはまず世間の人々に振り向いてもらうことから始めなければなりません.その役割の一端を担っているのが,上記の教養のない一般人です.スター選手が誕生し教養のない一般人が注目し始めると,確かに非常に多くのノイズが発生します.マナーは悪いですし,ブーム熱が冷めるとすぐに他へと移って行ってしまいます.しかし,そういった教養のない一般人が作り出したブームはその競技自身に興味を抱いた人々,すなわち将来の教養のあるファンを振り向かせます.これによってその競技は存続可能となり,既存の教養のあるファンもその競技を楽しむことを続けることができます.

スターシステムは多くの弊害を生み出します.しかし,それでもスターシステムは皆にとって必要なのだろうと思います.