幸運の女神

高校時代に半年だけテニス部に所属していことがあったのですが,始めて2,3ヶ月の頃に突然大会に出場させられたことがありました.まだ自分自身がサーブも満足に打てない状態だったのに加えて,対戦相手がその大会の優勝候補の一人ということで,当然のように惨敗しました.その後,他の新入生メンバも強敵選手と対戦が組まれていたそうで,“要するに捨て駒が欲しかっただけか”ということに気付いて当時の私は随分と憤慨したことを覚えています.

その後,知人からの話で知ったのですが,上記が特別という訳ではなくテニスの大会でトーナメントを組むときは,抽選などは行わずに優勝候補には弱い選手を割り当てる,と言ったような組み方をするそうです*1.紳士的なスポーツとも言われるテニスですが,何だか随分としたたかなことをしているなぁ,と思いました.

スポーツなどの競技に対する姿勢としては,“勝負は時の運”と言う人と“強い者が勝つ”と言う人がいます.例えば,実力の拮抗した二者がぶつかって消耗戦となったため,実力的に一歩劣る第三者が漁夫の利で(その後の対戦で)勝利をもぎ取ったということはしばしば見かけますが,この試合を見て,前者の人は,

勝負はこのように何が起こるか分からないから面白い.

と言う感想を抱きます.それに対して,後者の人は

レベルの低い試合でつまらん.決勝は,真に強い二者が戦うべきだ.

のような批判を行ったりします.どちらの意見も一理あるので,一概にどちらが良いとは言えませんが,大会主催者に関しては前者の立場に立つことが多いように思います.そのため,トーナメント表の決定時や(サッカーなどの場合)試合の陣地決めのとき,(野球などの場合)先攻後攻を決めるときなど様々な場面で(じゃんけんやコイン投げなどを通じて)ランダム性を持たせています.そういった意味では,ランダム性を排除して後者寄りの立場を取るテニスは珍しい事例だなぁ,と思ったり.

*1:自分の経験,プラス知人の話だけなので,こういった決め方がどこまで一般的なのかは分かりません.