本当の問題は問題がないことである

授業のレポート課題や就職活動の面接などでよく、「○○○を使った需要のある新しいサービスを考えよ」という問いが出されます。これは、大学や企業がどこの馬の骨かも分からないような学生にそのような問いを投げかけるくらい、世の中からは問題がなくなりつつあるということではないかと思います。

ゲームの世界では問題を解決すればゲームクリアとなります。しかし、現実世界では問題がなくなってしまうと職を失い、収入を失い、生きていくことができなくなります。世界平和が達成されれば軍人は路頭に迷うことになり、コンピュータウィルスが撲滅されればセキュリティソフトを開発する企業は倒産してしまいます。現実世界ではゲームクリアしてしまうと、それはゲームオーバーを意味します。そのため、永遠に「強くてニューゲーム」を選ぶことを強いられます。

現在の世の中(少なくとも日本)は皆に取って、「不満や欲を挙げればきりがないが、それでも概ね満足できる世の中」であると言えます。しかし、だからこそ皆は苦しんでいます。皆は「あればいいけどなくても全然困らないもの」を必死で考え、その開発に骨身を削ります。便利な製品を作成して人間の「仕事」を減らし、減らして得られた時間で頑張って「仕事」を作っていきます。