タメになるというアピール

一度、友人からライトノベルを一冊借りてよんでみたのですが、内容の軽さに驚きました。こんなものを読むなら純文学や何らかの専門書のほうがよっぽど自分のためになると思うのです。ライトノベルはシリーズものが多くそれを読み通せるくらいなら、ある程度難しい本でもたやすく読破できると思います。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa3961413.html?ans_count_asc=20

ライトノベルが云々は置いておくとして.

人は“タメになる”とか“役に立つ”という言葉に非常に弱いように感じます.“タメにならない”という正当化でも同じことを書きましたが,たとえ趣味や遊びであってもできるだけ自分の“タメになるかもしれない”,“役に立つかもしれない”ものを持ちたいと考える人は数多く存在します.はてブライフハックと呼ばれるような“何かを行う上で役に立つかもしれないことを記述した記事”が頻繁にホットエントリ入りする事もこの辺りの心理が関係しているのではないかと思います.

そう考えると,私達が他人に何らかの商品やサービスを勧めようとする場合には,まず相手に“タメになるかもしれない”と思わせるようなアピールを行う事が効果的となりそうです.商品やサービスの面白さを相手に伝えるときには言葉による説明だけでは効果が薄く,ある程度の期間,実際に試してもらわなければ分かってもらえない場合も多いため,相手から“試してみよう”という気持ちを引き出す必要があるのですが,この時に有効となるのが“タメになるかもしれない”という甘言ではないかと思います.

一時期、ゲーム業界の中には無理に反論しようとする空気もありましたが、もともとゲームの脳は、原理的に反論不可能な宗教です。真実や論理を超えた信念が最初にあるのですから、いかなる証拠も論理も歯が立ちません。

では、どうすればよいか?だいぶ時間はかかりましたが、この問題に対するゲーム業界からの最終的な返答は、現在任天堂DS向けにバカ売れの「脳を鍛えるゲーム」となりました。非常にスマートなかわし方だと思います。正面から相手にせず(すれば向こうの思うつぼ)、少し別の角度から押し流せばよいのです。(コメント欄より)

http://metro.fw.cx/blog/archives/2006/03/post_397.html

NintendoDSは非常に広い層に普及しましたが,この勝因の一つに“ゲームなど何の役にも立たない”と考えていた人達に“役に立つかもしれない(頭が良くなるかもしれない)”と思わせることに成功したからではないかと思います.このように,商品やサービスを関心のない人や嫌悪感を抱いている人に勧める場合には“タメになるかもしれない”と相手に思わせるようなアピールをするのが良いのかな,と思いました.

ここまで書いて,結局キャズムの話をしていることに気付く.

3番目のカテゴリーにあたる初期多数派(アーリーマジョリティ)は,実利主義なのが特徴です.新製品が社会を変えるとか,夢を叶えるなどといったロマンチシズムは一切もちません.その新製品を導入することで,作業を効率化できるのか,コスト低減を図れるのか,人員を削減できるのかなど,要するに新製品の導入で直接的な,目に見えるメリットを得られることが採用の条件になります.