ページビュー (PV) と対立する価値観

こういうことを書くと、ブログの成功は人それぞれだから、お山の大将でいいじゃないか的な口上を垂れるバカが決まって沸くが、読まれないブログに何か【対外的な】*2価値があると思っているなら大間違いだ。書いた記事が読まれなくては、コミュニケーションがそもそも成立しない。成功の定義のようなご立派なことは、それなりの読者数を実現してから述べていただきたいものだ。

オンラインのコミュニティは新しい社会か - よそ行きの妄想

Web サイトが成功しているかどうかを測る指標の一つとして,ページビュー (PV) は依然として大きなウェイトを占めています.一方で,(最近は RSS 購読者数,被ブックマーク数などそれ以外の指標も台頭して来たのでそうでもないですが)PV ばかりを追い求める PV 至上主義へのアンチテーゼとして,「PV だけが全てではない.PV 以外の価値観があるはず」と言った類の主張も数多く見かけます.ただ,「〜だけが全てではない」だけだと何も言ってないに等しいので,今回は PV と対立する価値観を思いついた順に列挙してみようと思います*1

そもそも誰にも見て欲しくない

所謂「ちらしの裏(チラ裏)」として完全に自分の備忘録のためだけに blog を利用している場合などがこれに当たるでしょうか.これについては根本からの価値観対立なので,どうしようもない気はします.

少数のユーザと親しくしたい

mixi 日記を書いているユーザに多い価値観でしょうか.mixi 日記などは基本的には(mixi ニュースを引用したりしない限り)知り合い以外は閲覧しないため,PV として見るとかなり少ないですが,それでも当事者達はそこそこ満足して更新しているような気がします.

ここの価値観カテゴリーに属するユーザは,読み逃げ問題などの例からも分かるように,「何人と付き合うか (PV)」よりも「個々のユーザとどれだけ深く付き合うか」の方への興味が強いと言う印象があります.そのため,PV に関してはせいぜい 2 桁(10 〜 100 程度?)を達成すれば良いと言う感じでしょうか.

マイペースで続けたい

ここで言うペースは更新頻度を指します.安定して PV を稼ぐためにはそれなりの頻度で更新し続けることも重要な事項のようです.

60%以上のブロガーは週に1回以上更新をしている。
ほぼ毎日更新しているを見ると、1日の平均アクセス数が500以上のブログでは、63.3%。
これに対し、500以下のブログでは、18.7%。

http://www.imi.ne.jp/blogs/research/2008/05/080521blog.html

しかし,blog を続けるうちに「書くことがない」と言う状況になる事も多々存在します.また,現実での仕事の忙しさなどの理由で更新を休んでいるうちに更新する事が面倒になる事もあります.こういったときに,それでも何かしらの更新を続けていくか,自分が書きたいと思ったときにしか書かないかで価値観の対立が起こっていそうです.

宣伝行為は行いたくない

この辺りから,自分自身もしばしば悩む価値観との対立になってきます.

(特に,無名な頃は)PV を稼ぐためにはある程度の宣伝活動も必要となってきます.様々なランキングサイトに参加したり,参加したランキングサイトのランキングを少しでも上げるために記事の中やサイドバーにバナーを貼りつけるなど.例えば,(宣伝の仕方や継続的な効果が見込めるかどうかなどの疑問点はありますが)以下のように宣伝行為の有無が PV にそれなりの影響を与えたと言う結果もあります.

さて、となると“呼び掛け”とは関係無く、更新報告などに拠ってリンクを跳んで来た人数が先週と同じ42人だと仮定すれば、“呼び掛け”に応じてリンクを跳んで来てくれた人数は、延べ68人だと考えられます。先週比にすると約2.6倍で、かなりの効果が有った事になります。

ページ移転のお知らせ

一方で,blog で積極的にランキングサイトへ誘導するようなバナーを設置するなどの行為は(観測範囲にも強く依存しそうですが)嫌われる風潮もあるように感じます.PV と読者の印象のどっちを取るかと言うのは,少なからぬブロガーにとっての価値観の対立になっているのではと思います.

書きたい事を書きたい

ほとんどのブロガーは,(最初は)書きたい事があったから blog を書き始めたのだろうと思います.しかし,よっぽどの文才や専門知識,運のある人以外は,PV を稼ぐためには書きたい事だけを書いていれば良いと言うものではない事に,いずれ気が付いていくだろうと思います.

そこで,(主張自体は曲げないとしても)少しは読者の注意を引くような記事を書こうか,と言う誘惑に駆られます. ホッテントリメーカー ではないですが,刺激的なタイトルを付けて読者に取りあえずクリックさせる,突っ込まずにはいられないような主張を書いてブックマークを誘う,など.

しかし,これも度が過ぎると,読者へ自分に対する望ましくない印象を植え付けることになります(釣り師など).ここで,どちらを取るのかと言う価値観対立が発生するのだろうと思います.

全体的に見ると,「どれだけの多くの読者に読んでもらうか (≒ PV)」と「読者にどのような印象を抱かれるか」と言う価値観の対立になる場合が多いのかなと言う気がします.結局はバランスの問題なのでしょうが,このバランス感覚がなかなか難しいところです.

*1:順次,追加するかもしれません.