震災関連で増田にまとめ的なものを作ったら1000ツイートくらいされたんだけど
増田を引用する人たちこわい
(内容にオリジナリティは全くないから、タイミングだけで伸びたんだろう)
この人たち、増田ってどーいうもんかわかってんのかなって怖くなる
この話が面白かったので,今回は Web サイトの引用問題について.
Web サイトの引用問題も結構問題になります.この問題で一番よく聞くのが Wikipedia の引用問題で asahi.com:ウィキペディア、信頼度は?利用者急増、誤った情報も - 文化一般 - 文化・芸能 などのように,新聞のような媒体でも Wikipedia を引用してしまうケースがある(あった?)ようです.
参考文献としてWebサイトを引用することが多くなってきたように思う. しかし,アクセッシブルな文献を引用するという原則を考えると, Webサイトの引用は避けなくてはならない. Webなんて誰でも見れるのになぜ?という疑問は簡単に覆すことができる.
「URLで示されたWebサイトが常に一義的に閲覧可能ではない!」
- URLは変更される可能性がある.
- 内容も変更される可能性がある.
- そのサイトが閉鎖される可能性がある.
- ページという概念が希薄である.
- 文責が明らかでない.
ということが主たる理由である. ISBN/ISSN が付与された書籍は,然るべき図書館に行き,然るべき手続きを経ればアクセス可能である. インターネットの普及に伴い,検索サイトで検索してそのままWebページを参考文献として引用する, ということが簡単にできる御時世である. しかし,そのサイトの内容が書籍になっていないか,論文になっていないか, などを入念にチェックすることは著者の義務なのである. 参考文献とするに足りる多くのWebサイトの内容は,書籍と雑誌で事足りる!! あらゆる努力を費やして,それでもWebしか無い場合のみ参考文献として引用することが許される, と思われたい.
・・・(中略)・・・
参考文献の引用・参照 > 参考文献にできるもの [科学技術論文の書き方]Wikipediaの利用
Wikipedia,これほど威力のある,というか便利なものはない,ということは本文筆者も認める. しかし,実は Wikipedia にはその内容の信憑性の担保が甚だ欠如しており,その引用には問題が山積されている.
- 誰でも匿名で編集できる.文責の所在がない.
- 誰もその内容に責任を持っていない.Wikipedia 自身もその記事の編集者も.
- 改変が可能である.それが悪意のあるものでさえ.
- 記事内容が普遍ではありえない.著者か引用した際と同一の記事を読者が閲覧できる保証がない.
- Wikipedia のシステムの編集方針第一義が形式的な継承主義であり,事実・真実を伝えることではない.
ということがその主たる理由である.
Wikipedia の記事を根拠に論旨展開することは禁止する
通常の文脈では Wikipedia を参考文献として引用することはありえない. 「通常の文脈」とは,Wikipedia そのものを研究対象としたりする場合 (社会科学系ではありそう) などは通常ではない,ということである. ここでは Wikipedia を例として挙げたが,類似サイトでも同様である.
研究遂行上、Wikipedia の「利用」を禁止する,と言っているのではない. 上で述べたように利便性は本文筆者も認めている. 例えば,まずは調査の入り口として Wikipedia を利用し,そこからアイディアを練る, 参考文献とするのに相応しいソースを探す,といった利用方法であれば全く問題ない.
学術論文などでは,上記のように Wikipedia の引用(と言うか Web 上にある情報全般への引用)や参考文献に追加する事は,特別な理由がない限りは行われません.IT 系の研究だと実例として何らかの Web サイトを紹介するなどの理由で,他の領域よりも Web サイトが参考文献に載る頻度は高いですが,それでも最低限に留められます.
ブログの記事などはそこまで堅いものではないのと精度よりも即時性を重要視されるなどの理由で,そう言った事を気にせず Web 上での記述を参考文献として引用する事が多々あります(私自身も上記のように引用しまくりです)が,それでも「どの Web ページは引用するに足りうるか」みたいな問題はあります.例えば,大手新聞社の Web 上での記事はすぐに消されてしまうので時間が経ってから閲覧した人は引用元の情報を確認する事ができないなどの理由で,引用すべきかどうかは悩みどころだったりします(多くの場合は,そこまで深く考えない,もしくは Web 魚拓を取った上で引用しますが).
ブログ記事を書く上で「その Web ページは引用するに足りうるか」の判断は,最終的には,自分が「その記事を書いた人が信頼できるかどうか」と言う主観に落ち着きそうです.信頼できるかどうかは,「同じ ID で長い間記事を書き続けているか」とか「記事の内容がそれなりに管理されているか」などの要素で判断されます.Wikipedia に掲載されている情報が,ブログなどにおいては「まぁ引用しても問題ないだろう」と思えるのは,管理人と呼ばれる人達が頑張っているおかげで(普通の Web ページの記事に比べれば)それなりの信頼を得た結果であると言えます.
はてな匿名ダイアリー(増田)の個々の記事に関しては,こう言った信頼度の面で言うとゼロに近いので引用する際は注意する必要がありそうです.ある程度の精度を保ちつつ,しかも増田の記事を引用したいのような場合は,Web 魚拓を取ってその URL を併記するなどが必要かもしれません.
ちなみに,最初の増田の記事の Web 魚拓は http://megalodon.jp/2011-0417-1527-21/anond.hatelabo.jp/20110416020653 .