気になった記事.「日本はクソだ!」論の中心にいた(比較的よく見かけていた)ブログの一つである elm200 の日記 で,このような記事が投稿された事はそれなりに意味があるのではと感じています.
私は以前、新興国の成長力に希望を抱いていた。だが、実態として新興国の政府は腐り切っている。こんな状態で経済成長は持続可能だろうか?私は疑問に感じざるを得ない。こう言わざるを得ないのは誠に残念なことであるけれども。
新興国の国民は陽気で前向きで楽しい人たちだ。私は何らかの形で彼らとかかわりは持ち続けたいが、新興国政府と直接関わりの持つのはごめんこうむりたい。
しばらく休息したら、とりあえず日本で働き始めるつもりだ。
1年前、私は「若者よ、日本を脱出せよ」と檄文を書いた。そういう私が、こういう状態になってしまい、まったく恥ずかしい限りである。批判は甘んじる。若い人たちが外国に出て、異文化を学ぶことが人間的成長におおいに役立つという信念は変わっていない。
ただ、新興国ブームをブームで終わらせないためには、政府内部の腐敗体質をただし、法律に基づいて行政を行う法治主義を徹底させる必要があるはずだ。
さよならベトナム - elm200 の日記
この手(日本の労働環境はクソだから海外へ行こう)の論調は,検証情報や問題点に対する言及もほとんどないまま「フロンティアの開拓民になれ」とただ煽ってるだけのような印象があって,どちらかと言うと不快でした.ただ,その渦中にいた人が自らの失敗談とともに,海外(アジア新興国)での活動に関する問題について言及した点は評価できると思います.
「日本はクソだ!」論については,ニートブログ、海外就職ブログでアクセス数を稼ぐ宗教的な方法 - Life like a clown で指摘したブログも既に閉鎖済みだったりと,一時期よりはトーンダウンしているようです.
実際問題として,日本経済の停滞や新興国の伸びを考えると「日本以外を拠点として活動する」と言う選択肢はこれから否応なく増えてくるのだろうと思います.ただ,そう言った選択肢についてはまだノウハウ等も溜まっておらず,失敗したときにどうなるかをイメージできている人も多くありません.そう言った意味で,現状からの逃避策として安易に選択してしまう事を防ぐためにも「あくまでもフロンティアの開拓民である」と言うメッセージは必要なのではないかなと言う気がします.
15 歳から海外へ出ていくのも良いかもしれませんが,その進路についてはまだ社会的な制度が十分に整ってはいません(募集数が少ない等).これは,その進路を進む事を決めた場合,周りから受けられる支援が限られる事になり,多くの困難を自力で突破して行かなければならないと言う事を意味します.コメントで,なぜ海外の大学ではなく日本の大学なのですか?と言う問いがありましたが,私の答えとしては「わざわざ茨の道を進む事はない」と言うものです.少なくとも現状では,日本の大学に取りあえず籍を置き,そこから各種制度を利用して海外へ挑戦する方が多くの人にとっては現実的であり近道であると思います.
大学を含め,現在の日本社会では修正していかなければならない事柄が数多くあります.しかし,だからと言ってそれまでの先人達の業績を全否定して,まったく新しい道をゼロから自分で進んで行くと言うのはあまり良い選択肢ではないのではないか,と思います.
補足:18歳の君たちに告ぐ,取りあえず東大へ行け - Life like a clown
特に情熱的な人ほど,「現状は最悪である」と思い込み,レールに沿って進む事を嫌って茨のレールの選択肢(多くの困難を自力で突破しなければならない選択肢)を取ってしまう事があります.ただ,情熱的だからと言って主体的に動けるとは限りません.そう言った意味では,海外との交流などに関しても,既に存在する大学の制度などを利用してセーフティネットを張りつつ,自分がどこまで主体的に動けるのを見極めながら少しずつ前に進むのが良いのではないかなと思います.