Steve Jobs 評伝騒動

 

左側が書籍自体の表紙画像,右側が帯付きの画像です.

何でも,原作の装丁は伝記の内容に一切口を出さなかったジョブズが唯一関わったものだそうで,その装丁で揉めているようです.個人的には「帯なら外せば良いだけの話ではないだろうか」と言う感想だったのですが,「邪魔な帯が付いている事自体が Steve Jobs の遺志を蔑ろにしている」と言った類の意見もちらほら見かけ,そう単純な話ではないようです.

ただし,この騒動の発端となったであろう ジョブズの遺志をガン無視した犯人、それは講談社さんアンタだよ! - quipped の記事が,意図的なものか勘違いかは分かりませんが(何の注釈もなしに)帯付きの画像「のみ」を表示したため,騒動当初は,上記右側の画像が「帯付きの画像」と言う事実を認識していない人も多数見受けられました.そのため,「帯であってもダメ」の類の意見は,引っ込みが付かなくなったと言うか,感情的になっているがために後付け的に主張されている感が幾分見受けられるので,その点を考慮して反響を眺める必要があるかなとは思います.

その他,ジョブズ本なんか小さい問題に思えてくるぞー と海外の出版社も大概ですね的な記事(画像)もありました.まぁ今回はどうも「Steve Jobs の遺志」と言うものが大きく関係しているようなので,一般的にどうこうとはまた別問題なのだろうなと言う気はします(ちなみに,和書の方の装丁は ピアッシング - 村上 龍 のようです).

電子書籍版が(紙の)書籍と同価格

もう一つ,電子書籍版が(紙の)書籍と同価格と言う事で,こちらも波紋を呼んでいました.それに対して,「別に紙より高くても良い」的な記事もいくつかみられました.個人的には,「紙より高くても良い」的な意見の本質は,以下のコメントにあるような気がしています.

まず同価格で良いから原則全ての書籍で電子版も同時に出せ.価格競争はそれからでもいい.

http://b.hatena.ne.jp/triggerhappysundaymorning/20111024#bookmark-64445817

電子書籍版の普及と言う観点から見ると,現状の問題点として「そもそも電子書籍と言う選択肢を取ることのできない(紙の書籍でしか発売されていない)書籍が多すぎる」と言うものがあります.また,出版社側も,人々の間に浸透している(電子書籍に対する)相場感が安すぎたり,実際問題としてどの程度の需要が存在するのかまったく分からなかったりで商売にならない(ので出さない)と言う結論が出ている可能性も考えられます.

したがって,現状ではまだ価格問題について語る段階にも達していないので「同額であろうが紙よりも高かろうが取りあえず(電子書籍でも)出す」と言う事を出版社の慣例として浸透させていく必要があります.その意味では,取りあえずでも電子書籍での出版に漕ぎ着けたと言う事実は評価されても良いと思います.

10年前の Yahoo! BB によるネットワーク回線の価格破壊ではないですが,ある程度,商売として成り立つと判断されて普及・浸透すれば価格競争は自ずと発生してくるだろうと思います.電子書籍の価格に関する議論はそれからでも良いのかなと感じました.