先日、このブログの記事が 2 件ほど ガジェット通信 に転載されました。転載記事を一通りググって気付いた点としては、Infoseek はメールでご連絡頂いた際のリストになかったですねと言う点と、記事によっては転載されないものもあるんですねと言う点くらいでしょうか(単に気付いた点を記載しただけで、だからどうこうと言う意図はないです。念のため)。
さて。転載を許可したのは、初めてのお話だったし何となく……が正直なところですが、明確な目的としては、以前からちらほら目にしていた「全文転載メディアに転載する事によってオリジナル(個人ブログ)が被るデメリット」を実際に自分でも体験しておきたい、と言うものがありました。
そこで、何か書くに先立って全文転載系メディアへの転載に関する記事を一通り集めてみましたので文末に時系列で記載しておきます。今年の 1 月位に盛り上がっていた話題のようです。纏めているうちに「言いたい事は大体言い尽くされてるし、リンク集だけで良いんじゃないかなもう……」と言う気もしてきましたが……
記事内容自体の露出機会とブログへの流入機会のトレードオフ
一連の話題で最も問題視されていたのが「重複コンテンツが発生する事によって自分の記事(オリジナル)の方が Google の検索結果から吹っ飛んでしまい、それによってブログへの流入機会を損失してしまう」と言うものでした。試しに google:ラグナロクオンラインは既にどうやって最期を看取るかと言う段階] や [google:投票率の世代間論争に関する個人的な立ち位置 と記事タイトルでググってみましたが、確かにこのブログの記事も跡形もなく吹っ飛んでしまいました。この問題への対策として「転載まで少し時間をおき、ブログの方を先に Google に認知させる」と言った提言もありましたが、10 日程度の時間をおいて転載された記事でもこの有り様なので、サイトのオーソリティに大きな差がある場合は、恐らくどうしようもないのだろうと思います。
ただ、一方で not provided 大杉*1」でお手上げ状態でした……)。
また、記事の性質的に「そもそも検索流入があまり期待できない」ケースも数多く存在します。例えば、上記は ラグナロクオンラインは既にどうやって最期を看取るかと言う段階 - Life like a clown の検索エンジン経由での流入の推移を表したグラフ(橙が PC 用ページ、緑がスマフォ用ページ)ですが、各種ソーシャルメディア上での反響が落ち着いた 2013/08/02 辺りで検索エンジンからの流入もほぼ落ち着き、それ以降は転載の有無に関わらず低レベルな位置で安定しています*2。元々、各種ソーシャルメディア上で話題になりやすい記事と検索エンジンから流入しやすい記事には記事自体の特徴に結構な差があるので、(ブログの全記事を随時転載するのであれば話は別ですが)今回のように「ソーシャルメディア上で話題になった記事をピックアップして転載する」と言う形であれば、ブログのアクセス数的に大きな問題になるケースは少ないような気がします。
話は変わって、「記事内容自体の露出機会の増加」と言うメリットの方に関してですが、これについてもうーん……微妙、と言う結果でした。PV 自体は分からないので各種ソーシャルメディア上での反響からの推測ですが、今回の例では、どちらの記事も「転載された全てのメディアでの反響を合計しても、オリジナル記事での反響の 1 割に達するかどうか」と言う程度のようです。数撃っていればそのうち予想外の反響を生む事もありそうですが、転載依頼を受ける頻度等も考慮すると「記事の内容自体を多くの人に読んでもらいたい」と言う目的に絞ったとしても効果はあまり期待できなさそうです*3。
以上の結果から、これらのトレードオフに関しては「メリットの方もデメリットの方も微妙すぎて、各人の好みの域を出なさそう」と言う感想でした。
Web 文化にマッチしない転載システム
多くの転載メディア系に関する別の問題点として「転載システムが Web 文化とマッチしていない」と言うものがあります。この点について、最も表面化しやすい問題が「リンク」に関する扱いです。
僕は、文中リンクを多用する書き手だ。ガジェット通信から寄稿して欲しいと頼まれた 池田信夫氏が不破雷蔵氏のグラフを直リンクしたのは何が問題か - 最終防衛ライン2 も文中リンクが非常に多い。寄稿することで「本来のリンク文+URL」となるのは非常にうっとしい上に読みづらい。
僕もガジェット通信からの寄稿依頼があったけども、やっぱり商業ニュースサイトはダメだと改めて思った話 - 最終防衛ライン3
…(中略)…
寄稿による影響も知りたかったので音沙汰なしになったのは残念ではあるのだけど、寄稿文のやり取りによりガジェット通信などの商業ニュースサイトが文中にリンクをはれない理由が分かったのは収穫だったかなと。要するに、他社に記事を配信する都合上、リンクをはれないわけだ。これは種々の配信先のフォーマットが同じではないとか、リンクが多いと他のサイトにユーザーが流れるからとか、SEO上の問題などが考えられるのだけど、リンクで簡単に参照できるのがインターネットの良さなのに、それを殺してどうするのかと。改めて商業ニュースサイトはダメだなと思った次第。
例えば、ラグナロクオンラインは既にどうやって最期を看取るかと言う段階 | ガジェット通信 GetNews を見ても大量の URL が表記されており、(構造的に)非常に読みにくい記事となっている事が分かります。この記事に関しては、できるだけ根拠を示すように心掛けて書いたため普段以上にリンクの多い記事となったのですが、それらのリンク情報が全て記事上に明記される事によって本文がどこなのかパッと見で分かりづらい箇所も存在します。
転載システムによる問題はガジェット通信以外でも多々目にする機会があり、例えば Yahoo! ニュースへの転載のされ方がひどい - Life like a clown では、転載システムによってタグ (ol, li, a) が全て除去されてしまった結果、何を書いているのかすら分からない記事になってしまったと言う事例を紹介しました。
個人的には、「記事中のリンク構造は全て失われ、リンクは記事中に 1 箇所しか指定できない」と言う縛りならば、たまに見かけますが「記事自体は元記事と同じ内容(URL 等の追記無)で表示し、『リンク等の詳細についてはこちら』と言った文面で元記事へのリンクを 1 箇所指定する」と言う形が 1 番良いのではないかなぁと言う気がしています。
尚、BLOGOS はリンク構造等も含めて完全に転載と言う形になっているようなので、この点に関しては、できれば他の転載メディアも同様の形になるように改善方法を検討して欲しいと思いました。
このブログの全文転載に関する方向性
最後に、このブログの全文転載に関する方向性ですが、まだ少し悩み中です。先に挙げた点以外でも、例えば、エキサイトニュース では 6 ページ、Infoseek ニュース では 11 ページにも渡って記事を分割してしまっており、いち読者として「無駄にページ分割されている記事は読む気にならない」と常々感じている私としては、そう言った記事が生成される手助けになっているのは不本意でもあります(まぁ、メディア指定で拒否すれば良いと言う話ではありますが)。
ブログ記事に関してはこれまで「別に内容自体が多くの人に読まれれば、それで良いかな」と言うスタンスだったので転載でも何でもご自由にと言う形にしていたのですが、「構造的に読みにくい記事が生き残って、オリジナルが吹っ飛ばされてしまう(可能性がある)」と言う現状を鑑みると、これから発生するかもしれない読者にとってもマイナスかなぁと言う気持ちが強くなってきているのが正直な所です。
検索エンジンについては、誰かが指摘していましたが Bing では今の所、(記事タイトルで検索しても)オリジナル記事が吹き飛ばされると言う事もなく場合によってはオリジナル記事が先に表示される事さえ有り得るようです。「転載をすると損」と結論付けるのはGoogleに飼い慣らされすぎてないかという問題 - novtan別館 と言う指摘もありましたが、この問題に限らず、ある分野が一強状態(独占状態)になるとマイナスな面が現れる事も多いので、Bing なり何なりがもう少し Google からシェアを奪える事を期待しています。
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