Twitter スパム BOT ネットワーク(BOT アカウント一覧)の規模の大きさに戦慄したお話。
先日、【日本終了のお知らせ】Twitter民がまたやらかしたwwwwwwwwww と言う Naver まとめ記事が流れてきました。最初は「2ch まとめブログの運営者が付けそうなタイトルだな」程度の感想しかなかったのですが、似たような記事を見かける頻度が多くなってきたので調べたところ、この curation.jp と言う Naver まとめユーザは恒常的にスパムを行っている事で(一部で)有名なユーザのようです。
Naverをダメな方に加速させているパクリまとめBot拡散アカ curation.jp によると、curation.jp、zen-12a、ma-kome、wasejo_tjkn0123 と言った Naver まとめのアカウントは、
と言う手法を用いて、安定した PV を稼ぎ続けているとの事です。例えば、この記事の執筆時点で最新のまとめである 【悲劇】病院で曲がった腰を伸ばされたおじいちゃん、なんと・・・ は、自分で確認した限りだと、まとめ記事を公開して 30 分で 28,000PV 弱、2 時間で 40,000PV 弱と言う値を弾き出しています。
ゾンビのように蘇ってくる Twitter スパム BOT
curation.jp のまとめ記事を呟いている Twitter ユーザを追ってみたところ、以下のスパム BOT アカウントが「メイン」で使われていました。
TwitterID | フォロワー数 | RT |
---|---|---|
@twitsoku | 48,771 | ○ |
@buzzsoku | 45,670 | ○ |
@news_hima | 14,829 | × |
@news_kini | 13,319 | × |
@womansoku | 11,485 | × |
@RTmatome | 7,093 | × |
@Tw_warai | 3,148 | × |
@syobonsoku | 1,215 | × |
表の右端は「他の Twitter スパム BOT アカウントの呟きを RT しているかどうか」を示しています。フォロワー数の多い 2 つのアカウントが他のアカウントの呟きを RT する事によって、単にリンクがクリック(拡散)される機会を作るだけでなく、スパムアカウントがフォローされる機会も増やしている(スパムアカウントの育成も兼ねている)ようです。
bot が死なない訳
NAVERまとめをbot拡散するスパムアカウントが死んでも湧いてくる訳
「bot で bot を RT してネズミ算的にフォロワーを増やしている」から。
つまり所持する bot の一部が死んだところで bot が生き残ってさえいれば、何度でも何度でも何度でも蘇る。まるでゾンビだ。
アカウントに関しては「今日(2013/10/07)から本運用し始めたと思われる BOT アカウント」を確認する事ができたので、以下にスクリーンショットを掲載しておきます。
これを見ると、まだ 3 ツイートしかしていないにも関わらず既に 1,000 以上のフォロワーを獲得している事が分かります(以前のツイートを消した可能性もありありますが)。最初のツイートだけ Naver まとめ記事とは関係ないものですが、スパム BOT 間での RT による育成方法以外にもスパム運営内部で「少ない呟きで効率的にフォロワーを稼ぐ手法」が確立されているのかもしれません。
最初、Naverをダメな方に加速させているパクリまとめBot拡散アカ curation.jp で挙げられていたアカウントは全滅(削除、または凍結)しているにも関わらず安定した PV を稼ぎ続けているのを見て不思議に思っていたのですが、こう言った効率的な BOT 育成方法を確立するなど「アカウントの内のいくつかは凍結される事を前提」とした 拡散用の Twitter スパム BOT ネットワークを構築しているようです。
「twitterで人気のニュース系記事もRTします」でググると……
ここまでが、この記事での当初の調査だったのですが、これに関連して 抱腹絶倒間違いなし!Twitterのおすすめアk・・・ん? - NAVER まとめ と言うまとめ記事が目に留まりました。curation.jp が飼っている Twitter スパム BOT アカウントのプロフィール欄には「twitterで人気のニュース系記事もRTします」と言う一文が記載されている事が多いとの事なので、試しに google:twitterで人気のニュース系記事もRTします site:twitter.com でググってみました。すると……
…… curation.jp が飼っていると思わしき Twitter スパム BOT が大量に引っかかりました。2013 年 4 月時点で 133 個のスパム BOT アカウントが存在していた そうですが、Google の検索結果を見る限り、少なくとも数十のアカウントは今現在でも現役で活動しています。これらの BOT アカウントも他の BOT アカウントを RT と言う形で記事を拡散しているので、BOT アカウントの育成も兼ねているものと思われます。上記で「まるでゾンビだ」と言う表現がありましたが、この検索結果を見た時はまさに無数のゾンビが群がってくるようで、背筋の凍る思いがしました。
尚、再度確認すると RT 部分については全て削除されていたので、参考までに 2 点ほど、スクリーンショットへのリンクを示しておきます[1][2]。確認した限り、同じタイミングで関係する全てのアカウントで RT が削除されているようなので、定期的にバッチ処理が実行されているものと思われます。意図としては、スパム行為の発覚をできるだけ遅らせるためでしょうか。
Naver まとめと言うよりは Twitter の問題か
この問題、個人的には「Naver まとめの問題」と言うよりは「Twitter の問題」と言う気がします。確かに何の対策もなく放置している Naver まとめ側にも問題はあると思いますが、例えば Naverをダメな方に加速させているパクリまとめBot拡散アカ curation.jp で挙げられている Togetter と Naver まとめの 2 つの記事を単純に比較する事で「パクり」と判定してアカウントを凍結するのは正直難しい(少なくとも、完全な丸パクリと言う訳ではない)と言う気もします。Naver まとめ側に問うのであれば、どちらかと言うと「他のソーシャルサービス上でスパム行為を行っているようなアカウントを許容するのかどうか」辺りでしょうか。
また、仮に Naver まとめアカウントが凍結されたとしても、上記のような Twitter スパム BOT ネットワークを持っているのであれば記事を投稿する代替手段はいくらでも存在します。実際、curation.jp と言うアカウントは キュレーター - ONETOPI や FC2 まとめ も利用している形跡が伺えます*1。
Naver まとめでの月間 PV は 2500 万超との事で、当初は「Naver まとめのトップページからの流入をうまく利用しているのだろう」と思っていたのですが、自力で安定した PV を稼ぐ方法を確立しており、それ(Naver まとめのトップページ)に依存しなくても良いのであれば、普通に Twitter まとめブログを運営したとしても Google AdSense 等でかなりの額を稼ぐ事が可能です。
Twitter 側に目を向けると、Twitter も(一応は)今回のような事例は問題と認識しているようで、規約で明確に禁止しています。以下は、Twitter での禁止事項等に関する規約の一部を抜粋したものです。尚、「スパム」のサブ項目については、数が多かったので、個人的に curation.jp が違反していると思われる箇所のみを抽出しています。
不正利用とスパム
Twitterは不正利用やスパムからユーザーを守るよう努めます。ユーザーの不正利用や技術的な不正利用をTwitter.comで容認することはできません。以下に明記する行為を行なっているアカウントは全て永久凍結されることがあります。
- アカウントの大量作成:秩序を乱すことや嫌がらせを目的として、または、ユースケースを重複して、連続してアカウントを作成することを禁じます。大量にアカウントを作成した場合、関連するすべてのアカウントが凍結の対象となります。いかなるTwitterルールの違反は、すべてのアカウントの永久凍結の原因であることに注意してください。
…(中略)…
- スパム:スパム行為を行う目的でのTwitterサービスの利用を禁じます。「スパム行為」とされるものは多様化しており、Twitterはスパマーに対して新しい策略と方策により対処します。スパム行為とみなす決定をする際に考慮する事項は以下の通りです:
…(中略)…
The Twitter Rules | Twitter Help Center
Twitterルール違反に関する報告は、こちらのフォームをお使いください。
しかし、現実としては「スパム報告が来たら凍結」以上の目立った対策は立てられていないのが実情と言う印象です。これまで述べてきたように、問題の Twitter スパム BOT ネットワークは「いくらかは凍結される事」を前提とした構築方法となっているので、個別にスパム報告したとしても目立った成果は挙げられません。したがって、報告する際には、ある程度このネットワーク全体を体系立てて説明し、報告しきれていない部分を Twitter 運営側にも追ってもらう事をお願いする必要があります……が、スパムに関しては基本的に「スパム報告ボタン」からしか受け付けていないようです。
スパムの話題は「はてなブックマーク」でもよく問題になりますが、Twitter の規模にまでなってしまうと何らかの「新規アカウントを取得するためのハードル(mixi の携帯電話認証みたいな奴)」を設けないと、ソーシャルネットワーク(ソーシャルメディア)と言うもの自体がスパムに負けてしまう未来が到来するかもな……と言う感想を抱きました。記事の最初に 【日本終了のお知らせ】Twitter民がまたやらかしたwwwwwwwwww と言うリンクを示しましたが、このアカウントの存在の方がよほど「日本終了のお知らせ*2」と言う感じがします。
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*1:FC2 まとめについては、リンク切れで存在が確認できませんでした。
*2:ソーシャルネットワーク上での