CubePDF シリーズと PDF のパスワード保護について

先日、CubePDF Utility 0.5.4β のリリースが完了しました(リリースノート)。0.5.0β で大幅な改修 を行った都合で一部の機能が移行しきれておらず、0.5.1β 以降は主にそれらの移行期間と位置付けていました。0.5.4β で後述する閲覧機能以外は一通り移行が完了したのではないかと思います。

さて。CubePDF シリーズに関するお問い合わせの中で「パスワード保護」に関するものを比較的よく目にします。そこで、この記事ではパスワード保護(セキュリティ設定)に関連する内容を 2 点ほど記載します。

CubePDF Utility で PDF ファイルを開けない現象について

0.5.0β 以降、重複して頂いているお問い合わせの一つとして「パスワードが設定されていないはずの PDF ファイルを CubePDF Utility で開くとパスワードを要求されるようになった」と言うものがあります。

CubePDF Utility パスワード入力画面

PDF ファイルには「閲覧用パスワード」と「管理用パスワード」と言う 2 種類のパスワードが存在しますが、この内、PDF ファイルの編集には、管理用パスワードを必要とします*1。PDF ファイルの中には、閲覧時にはパスワードを必要としないが PDF ファイルに対する何らかの編集・操作を制限しているものがあり、こう言った PDF ファイルを編集するには、あらかじめ設定されている管理用パスワードを入力する必要があります。

尚、これに関連して、CubePDF Utility 0.4.1β では編集できていたのに 0.5.x 系にバージョンアップすると編集できなくなったと言う報告もいくつか頂いています。この事例に関しては、問題を再現できる PDF ファイルをご提供頂く等して検証しましたが、現時点では「旧バージョン(0.4.1β 以前)で編集できていた事が不都合と言わざるを得ない」と言う結論となっています。完全な再現条件はまだ不明ですが、閲覧用パスワードは設定されていないが管理用パスワードで保護されている PDF ファイルの一部で旧バージョンが各種セキュリティ設定を検知できず、編集が実行されてしまう場合があったようです*2。これが、CubePDF Utility 0.5.0β の改修で図らずとも正しく検知できるように修正され、「編集できなくなった」と言う形で顕在化しました。

CubePDF Utility は 0.5.0β より編集・操作が制限されている事を検知した場合、PDF ファイルを開く際に 管理用パスワード を要求するように変更しました。この挙動に関しては、0.6.x 系では閲覧機能の強化をテーマとする予定で、その一環として再び閲覧条件を緩める方向で修正する予定です。しかし、前述したように 0.5.x 系で編集できなくなった PDF ファイルに関しては、これまで編集できていた事が不都合の可能性が高いため、それらのファイルが管理用パスワード無しで編集可能になる事は今後ありません。誠に申し訳ありませんが、ご理解をお願いいたします。

CubePDF をパスワード保護目的で利用する際の注意点

先日、変換された PDF の色がおかしくなる現象について と言うお知らせを記載しました。この問題に関しては、次バージョンで CubePDF 側での回避方法を追加する予定ですが、ひとまずは Ghostscript 9.26 にダウングレートする形で回避して下さい(CubePDF 1.0.0 with Ghostscript 9.26 のダウンロード)。

今回の不都合ですが、PDF ファイルを CubePDF プリンタ経由で印刷して再度 PDF ファイルに変換する と言う操作を実行した時に発生しやすいようです。当初「何故、PDF ファイルを CubePDF 経由で再度 PDF に変換すると言う操作が必要なのだろうか?」と疑問に思っていたのですが、利用用途を追っている内に「PDF ファイルをパスワード保護する」と言う目的で CubePDF を利用しているユーザがそれなりに存在する事が分かってきました。

まず前提として、CubePDF は利用用途の制限なく誰でも自由に利用できる事を目標の一つとして公開しています。したがって、最終的な出力ファイルに問題ないのであれば、PDF ファイルをパスワード保護する目的で使用して頂いても、何も問題ありません。

ただ、CubePDF プリンタで印刷すると言う事は、いったん PDF ではない別のデータ形式(印刷データ)に変換する 事を意味します。この過程でファイル内部のデータ構造等も大きく変化し、場合によっては最終的な見た目にも影響が及ぶ事もあります。PDF ファイルをパスワード保護する目的で CubePDF を使用する場合、この点をご留意下さい。

CubePDF Utility メイン画面

パスワード保護を始めとした PDF ファイルへの編集機能については、前述した CubePDF Utility と言うソフトウェアを公開しています。また、PDF の結合・分割機能に関しては、さらに簡易的な CubePDF Page と言うソフトウェアも公開しています。元の PDF ファイルのデータ構造をできるだけ保持すると言う点で見ると、これらのソフトウェアを利用する方が良い場合も多いため、もし良ければご検討お願いします。

*1:閲覧用パスワードはユーザパスワード (User Password) と呼ばれる事も多いです。また、管理用パスワードはオーナーパスワード (Owner Password) と呼ばれる事も多い他、編集用パスワード、権限パスワード等いくつかの呼び方が確認されています。

*2:この条件を満たした PDF ファイルでも、CubePDF Utility の旧バージョンがセキュリティ設定を検知できる場合もあり、完全な再現条件は不明となっています。