保身的な正義の使者

ここ最近,飲酒運転による交通事故のニュースをよく見るな,と考えているうちにふと思いついたこと.

抗議は「市全体の問題だ」「厳正な処分を」「職員の質が問われる」などという内容。

福岡市への抗議900件=五輪決起大会も急きょ中止−車転落事故

大きな事故が発生すると,世論からの反響が見られる場合も多い訳ですが,このとき大別して二通りの反響が見られます.一つは,上記のように当事者に対する批判,そしてもうひとつは“マスゴミ”という揶揄に代表されるマスコミ批判.時と場合によって,怒りの矛先が当事者に行ったりマスコミに行ったりするのは何故なのでしょうか.

これに関連した話題で気になったのが以下のエントリ.

普段マスコミに対する批判エントリを読んで自分はリテラシーが高いと思っている2ちゃねらーが、一方ではバイアスのかかったブログを何の疑いもなく信じ、ネットイナゴとして暴れだす。どうして誰も2chまとめサイトの記事を疑うことをしないのだろう?

誰も批判しない2chまとめブログの問題点 - 鍵大工学部

マスコミが報道する記事に対しては疑いの目を光らせ,何かあれば“マスゴミ”と批判する人達が,一方では2chまとめサイトの記事に関しては,鵜呑みにしてしまう.この差はどこから来るのでしょう.

この問いに関しては,“自分の身に関係があるかどうか”という視点で見ると一つの答えが出せるのでは,と思います.今回挙げた2つの記事の悪者はそれぞれ,飲酒運転をした人,LSTYさんということになります.つまり,どちらにおいても“自分は悪者ではない”ことが(少なくともその時点では)確定していることになります.この結果,悪者ではないと確信した人は記事の吟味をあまり行わずに“正義の使者”へと変身します.

一方,その記事の話題が多少なりとも自分に関係のある話題,つまり自分が悪者になる可能性のある話題の場合,人は注意深くその記事を吟味し始めます.そして,その記事に何らかの矛盾点を発見した場合には,その記事を書いた人を糾弾する“レジスタンス”へと変身します.

2chまとめサイトが叩かれる機会が少ないのは,まとめを書いている人とそのblogを読んでいる人が(年齢などいろいろな条件が)比較的近いため,読み手が悪者になる可能性のある話題が少ないから,なのかもしれません.