なぜ2ch語が流行るのか

【2ch脳】リアルで2ちゃんねるネタを持ち出す子供たちから.私自身も,相手によっては“これを他の人に見られたら友達なくすな”と思う位のノリで2ch語を使ったりします.それで,それ(2ch語を使う)は何故なのかなと少し考えてみたのですが,その理由の一つに“仲間意識が強くなるから”というものがあるのかな,と思いました.

スラング」については、遊びの機能と心理的結合を強化する機能の二つが重要だと捉え、「集団の成員がそれをつくって、楽しむ。さらに成員同士がそれを使って、楽しむ。つまりスラングとは、集団の成員にとって、つくる、そして使うという遊びの機能をもった集団語である」「集団の成員同士がそれを使うことによって、相互の連帯感や親愛感を確認し、強化しあう。つまりスラングには、集団の成員同士の心理的な結合を強化する機能がある」と説明している。柴田(一九五六)が指摘した、仲間意識や親近感を作りだし、団結を固くするというコミュニケーション機能が受け継がれている。さらに、「遊びの機能」を積極的に認めている。

http://www001.upp.so-net.ne.jp/ketoba/wakamonogowashudangoka.htm

2ch語ではないですが,例えば,研究室内では“XXXまでのルーティング教えて”とか“また輻輳が”のような言葉使いをすることがあります(それぞれ,“XXXまでの道順教えて”,“道路で渋滞が起きている”の意味).一歩引いてみると非常に奇異な光景ですが,そういった言葉使いは,結構受けが良かったりします.それは,そのような一般には伝わらない(伝わりにくい)けれども自分達には伝わるような言葉で会話をすることによって,ある種の秘密を共有しているような気持ちになり,それが仲間意識を強めていくためではないか,と思います.2ch語もこれと同様の機能を果たしているように感じます.

また,2ch語が流行るもう一つの理由に,上記の「遊びの機能」があるのではないかと思います.一般には伝わらない(伝わりにくい)けれども自分達には伝わるような言葉なら何でも良い,という訳ではなく,そこには“おもしろさ”という要素も要求されます.仲間内で“面白いと感じさせるスラング”をどんどん作り出せる人がいるならば問題はないですが,やはりそれはなかなか困難なことです.そこで,自分達で考える代わりに2chで使われているスラングを“借りて”きます.

2chでは,毎日のようにいろいろな人が面白そうなスラングを考えて書き込み,そしてそれらの多くは日の目を見ることなく消えていきます.つまり,現在良く使われているスラングはそういった2cher達のフィルタリングを抜けて生き残ったものであり,そこには何らかの面白さが含まれています(いるはず).それらのスラングを借りてきて,仲間内のスラングとして使うことで,上記の2つの機能を手っ取り早く満たすことができます.その意味では,2ch語が流行ることは,ごく自然な流れであるようにも感じられます.

もちろん,それが面白いと感じるかどうかは人それぞれです(2chの利用頻度と相関するのかも?).そして,2ch語を使うときに問題となるのが,それ(2ch語)を面白いと感じられない人に対して使用したときのリスクです.一般的(?)に2chに対してはネガティブイメージが根強く,それ故,そのスラングの面白さを共有できない人にしゃべった場合には,そのネガティブなイメージを自分にも向けらる恐れがあります.2ch語を使うときには,この辺りのリスクも考慮して,使っても良い相手かどうかを見極めることが,やはり必要になってくるのだろうなと思います.