paper.li が面白い

paper.liは、TwitterFacebookなどのソーシャルネットワーク上で共有されているリンクから記事を収集し、読みやすい新聞形式に再構成して提供するサービスです。

Paper.li - Collect great content

知人から教えてもらったのですが、 paper.li と言う Web サービスが非常に興味深いです。取りあえず、自分の Twitter アカウントから作成してみた記事が http://paper.li/tt_clown になります。paper.li は久しぶりに初見で「面白い」と感じたので paper.li の可能性について少し考えてみます。

RSS Reader の代替手段としての Twitter

Twitter に関する話題の一つとして「RSS Reader の代替手段」と言うものがあります。特定の条件に合致する RSS のフィードを呟く BOT をフォローしておく事によって TwitterRSS Reader の代わりになるため、もはや RSS Reader は不要になるのではないかと言う主張です。

RSS Readerで記事を読むスタイルが終わるかもしれない。

RSS Readerの欠点は、敷居が高いところにある。使い方が分からないという声をよく聞く。実際、カジュアルなネットユーザーはRSS Readerを使っていない。

だが、不思議な事に、彼ら彼女らもTwitterのタイムラインに流れるニュースは読む。感想をつけてRetweetする事もある。

時代が変わってきているのだろう。

RSS Readerの終わりを予感させるTwitter bot70 - #RyoAnnaBlog

ただ、この類の主張に対しては、今まで私は否定的でした。その主な理由としては、Twitter にはフォロー数が増えるほどノイズが増えていき*1TwitterRSS Reader と利用するにはリストによる管理などそれなりに自分で管理しなければならず面倒(それをする位なら素直に RSS Reader を使用する)だからと言うものでした。

paper.li はこの「ノイズ」の除去を自動で行ってくれると言う役割を果たします。また、記事のカテゴライズなども自動で行ってくれるので「購読する RSS 群をどう言う風にカテゴライズして管理しようか」と言う悩みからも開放されます。RSS Reader に完全に取って代わると言う事はさすがにないとは思いますが、「RSS Reader の代替手段としての Twitter」にかなり実感を持たせてくれる Web サービスと言う意味で可能性を感じました。

コンテンツとしての性質を帯びた RSS Reader

はてなアンテナ など、RSS Reader が出現して以降めっきり勢いがなくなったアンテナ系サービスですが、個人的にはアンテナ系サービスには RSS Reader にない可能性を感じていました。それは何かと言うと、RSS Reader は個人が使用するために特化されているのに比べて、アンテナ系サービスは各アンテナページがコンテンツ的な性質を併せ持っていたと言うものです。この辺りは各アンテナページを管理されていたユーザに依存する部分も大きいのですが、アンテナページ自体が(作った本人だけではなく他の人にとっても)有用な「コンテンツ」として機能していたケースがいくつかありました。

paper.li は本人が利用するだけでなく paper.li 内の各ページ自体がコンテンツに成り得る可能性を秘めています。単にフォローした人全ての URL をページ化するだけではコンテンツとしての価値はまだまだ薄いかもしれませんが(個人的にはこれだけでも結構いい線いっているとは思います)、ある話題に特化したリストを作成して、そのリストに含まれる URL をページ化する事によって、あのアンテナ系サービスに感じていた可能性を再現できそうだなと感じました。

キュレーション

paper.li のような形態の Web サービスを「キュレーション」と呼ぶのだそうです。

消費者によるコンテンツのキュレーション

「消費者のストリームに私のブランドは掲載されているだろうか?」これがブランドマネージャー達が、2011年のソーシャルメディアの取り組みを行う上で、最も自問するべき疑問である。なぜなら、来年、人々は自分のコンテンツをより管理可能な形式でコントロールすることを重要視するようになるからだ。消費者は、ツイッターフェイスブックで多くのブランドをフォローするとクーポンや特売を得ることが出来る点に気が付きつつあるが、いずれ多過ぎる情報の管理に頭を悩ませることになるだろう。

そのため、フェイスブックでは、消費者がウォールからコンテンツを投稿するブランドを除外し、友達リストを使って“本当”の友達にのみに注目し、そして、心から興味をそそられるアイテムのみにコメントを残したり、共有するようになっているのだ。ツイッターでは、Cadmus(カドマス)と言う名の企業が、ツイッターの利用パターンに基づき、どのコンテンツがユーザーに最も関連するかを特定することで、私たちがストリームを閲覧する仕組みを変えようとしている。ペイパー.liフリップボードiPad用)等のその他のツールも、基本的にはコンテンツの人気を基にツイッターを管理し、コンテンツを読者フレンドリーにする。

ブランドにとっては、ただ単にコンテンツを作成するだけでは不十分ということになり– 人々のストリームで管理してもらえるコンテンツを作らなければならない。コンテンツが本当に説得力に溢れ、共有する価値があるなら、注目を集め、ライクされ、コメントやリツイートを生み出し、人々のストリームに正当に反映されるので、ブランドマネージャーは胸をなでおろすことが出来るだろう。この取り組みに失敗すると、SEOの専門家とインフルエンサーを味方につけ、そして、コンテンツを人々のツイッターのストリームの見やすい場所にプロモートするため、ある程度の現金を用意しなければならなくなるだろう。

2011年を彩る5つのソーシャルメディアのトレンド - SEO Japan

Web は、特にここ 5, 6年は、どんなものでも良いからとにかくユーザに投稿させよう(質より量)と言うスタンスで発達してきました。そのため、その大量の情報の中からどのような形であれ「良質な情報を抽出・編集する役割を持つ Web サービス」と言うものは Web には必要不可欠なものの一つです。そう言った意味でも、今後も、どのような形で情報を抽出・編集すれば良質なコンテンツとして形成できるのかは観察していきたいと思います。

*1:ここでの「ノイズ」は、記事などの URL 以外の呟き、くらいの意味。