株式会社キューブ・ソフト第17期の振り返り

Cube シリーズ概要

株式会社キューブ・ソフトは、10月31日で第17期が終了しました。この記事では、今期の事業内容について振り返ります。

4期連続の増収増益

今期も増収増益と言う結果で終える事ができました。私が実質的に経営方針を決定するようになって以降は、経常利益ベースで見ると、4期連続の増収増益となります。昨年、創業以来初めて累積黒字転換を果たした事を報告しましたが(株式会社キューブ・ソフト第16期の振り返り)、それまでは13期連続の赤字決算で債務超過に陥っていた事を考えると、継続的な増収を伴う形で財務面での危機が解消された事は何よりと思います。

収益面に関しては、結果としての数値とは裏腹に、2020年以降の不安定な経済状況に一喜一憂する場面も多々存在しました。特に、広告収益に対する影響は多くの他メディアで指摘されている通りで、弊社としても無風と言う訳にはいきませんでした。そのため、収益面での多様性を確保する事の大切さを痛感した4年間でもありました。現在は、有償プランの提供と言う形で、創業以来の広告収益への完全依存体質からの脱却を目指している最中となっています。まだまだ道半ばと言う状況ですが手応えも感じられているので、今後も引き続き、多くの皆様にとって有益と思える製品となるよう、開発を継続して参ります。

Cube シリーズに関する進捗

無償版

Cube シリーズの累積ダウンロード数

無償版に関しては、今期も引き続き CubePDFCubePDF UtilityCubePDF PageCubeICE の主要4製品の保守改善を中心とした開発となりました。今期は CubePDF の累計ダウンロード数が2,000万を突破した節目の年となりました。また、CubePDF Utility も累計ダウンロード数1,000万を間近に捉えており、順調な成長にひとまず胸をなでおろしています。

ダウンロード数と言う観点で見ると、私が経営方針を決定するようになった2019年中頃では主要4製品の月間ダウンロード数が合計で20万程度であったのに対して、現在は50万強と2.5倍にまで増加しました。普段はそこまで成長を実感する事はないのですが、改めて数値を見ると、感慨深いものがあります。

数値以外に目を向けると、前期に CubeICE への有償版の問い合わせが増えてきてる事を報告しましたが、無償版でも CubeICE の話題を目にする機会が増えてきたように感じます。特に、窓の杜(敬称略、以下同様)に窓の杜ライブラリとして採録して頂いた影響もあってか、今年後半に入ってからは、その印象をさらに強める事となりました。CubeICE は、主要4製品の中で唯一 PDF とは関係のないものなので、多様性と言う意味ではまた違った達成感があります。

近年では、ITreviewCapterra等の新しいユーザー投稿型レビューサイトや、それらの Web サイトの結果を踏まえた記事で紹介頂ける機会が増えてきました。そう言った様々な効果が相まって最終的に上記のようなダウンロード数になっているのだろうと思うと、感謝の念に堪えません。

無償版(非日本語圏)

CubePDF シリーズ英語版

CubePDF シリーズの主要3製品は2021年12月20日に英語版をリリースしましたが、ここから2年が経過し、非日本語圏のユーザーも随分増えてきました。Cube シリーズは性質上、正確なユーザー数を知る術はありませんが、バージョンアップ確認プログラム等の履歴を見ると3製品合計で10万人程度の非日本語圏ユーザーが存在しているようです。日本語圏のユーザーは主要4製品合計で300万人程度と予想されるので、それと比べるとまだまだですが、着実に成長を遂げている事を実感できるのは何よりです。

先日、ミャンマーのユーザーからメールを頂いた旨を投稿した所、大きな反響がありましたが、非日本語圏のユーザーから連絡やフィードバックを頂く機会も増えてきました。例えば、CubePDF シリーズにはドイツ語での表示機能が追加されましたが、これはユーザーの支援により実現したものとなります。10年以上もの長い間、ほぼ日本のみで利用されていた Cube シリーズが遂に海を越える事ができた事を実感できるのは、私としても非常に嬉しく思います。

有償版

GitHub Sponsors

有償版に関しては、第17期終了時点で57法人・組織が契約継続中となっています(有償版インストーラーおよび CubeVP の合算)。内訳を見ると、大企業から中小企業までの多くの企業に加えて、官公庁や社団法人に至るまでの様々な法人・組織にご契約を頂いています。契約件数としては、劇的な増加とまではいきませんが、着実に増やせている事には一定の手応えを感じています。

製品としては CubePDF Utility 有償版インストーラーが頭一つ抜けている印象ですが、年を経るにつれて CubeVP の契約や問い合わせも増えてきました。CubeVP ユーザーマニュアルに掲載している内容やサンプルプログラムが分かりやすかったと言う評価を頂く事もあり、私としても非常に嬉しく思います。

GitHub Sponsors 事業に関する進捗

GitHub Sponsors

2021年9月8日に GitHub Sponsors を利用した OSS スポンサー事業を始めて2年と少しの年月が経ちました。現在までにスポンサーとなっている個人・組織は合計13件で、今期の総支出金額は471,361円でした。弊社から提供している金銭は必ずしも多くはないのですが、折に触れて言及頂いたりと弊社としても嬉しく思っています。

今期、弊社が新たにスポンサーになったのは下記の4人と1プロジェクトです。いずれも精力的に活躍されている方達ばかりで、スポンサーとして少しでも力になれれば幸いです。

予算の都合もあるので全てと言う訳にはいかないのですが、今後も C#/.NET、あるいは Windows 方面で精力的な活動を続けている人々を見かけたら、積極的にスポンサーになれるように(収益面をさらに盤石なものにするなど)弊社もいろいろ頑張っていきたいと思います。

GitHub Activity の結果

GitHub Activity

毎年言及している(私個人の) GitHub Activity ですが、今年も何とか1日1コミット以上を継続する事に成功しました。ただ、コミットの内容に目を向けると保守的なものが増えてきており、開発としてはイマイチ攻めた事に挑戦できてないのは一抹の不安を感じている部分でもあります。「1日1コミット以上」の制約が自分自身の規律にとってプラスに働いている事は間違いないのですが、今後の課題が見えてきている事も事実であり、この辺りは悩み所です。

昨年、あくまで私の主業はソフトウェア開発と自負していると明記しましたが、改めてこの言葉に向き合いながら試行錯誤を続けていきたいと思います。