朝日新聞を購読している家庭の子どもほど学校の成績が良い

「IEユーザーはIQ低い」の調査報告に抗議の嵐 - ねとらぼ の記事を読みながら,「朝日新聞を購読している家庭の子どもほど,学校の成績が良い」と言う話を思い出しました.

以上の2つのデータから、朝日新聞を読んでいる家庭の子どもは、学校の成績が良い、ということが言える。(朝日新聞を読む人は高学歴であることが多い。高学歴者の子どもの成績は良い。よって、朝日新聞を読む家庭の子どもの成績は良い、というロジック)

べつべつの統計データだし、調査年も異なるので、本当は単純にはいえない。だが、今調査を行っても、「朝日を読む家庭の子どもは学校の成績が良い」という結果は得られると思う。

朝日を読んだから成績が上がるわけではないことに注意したい。統計のよくある誤解である。子どもの教育にとって比較的良い家庭は、朝日新聞を読む傾向にある、というだけである。

新聞と学歴と子どもの成績

データが20年以上も古いので今も同じ傾向があるのかどうかは分かりませんが,昔は,高学歴な家庭ほど朝日新聞の購読率が高いと言う結果が出ていたようです.子どもの学校の成績は家庭環境に依存するところが結構大きいので,これにつられて子どもの学校の成績とも相関関係が見られていたのだろうと推測されます.

統計結果の怖いところとして,「予想外のものに相関関係が見られると,(伝える方も聞く方も)その部分にばかり注目してしまう」事が挙げられます.IE の件も「IEを使っている人はIQが低いと言っているわけではなく、IQが低い人はIEを使っている可能性が高いと言っている」と言う釈明が掲載されていましたが,恐らくは別の理由で比較的 IQ の低い人が集まっていたのが,たまたま IE の利用率と IQ の低さに相関が見られてしまったために,その部分ばかりがクローズアップされてしまう事となりました.

キレる子供・成績の良い子供

「キレる子供にしないための食事」というのも、典型的な統計の嘘だろう。たしかにデータで見れば、ジャンクフードばかり食べている子供の方が、非行に走りやすい。でもそれは、食事が影響を与えているわけではなく、家庭の環境やしつけが影響しているのだろう。家庭環境がよければ、ジャンクフードばかり食べさせることはしない。食事を改善しても、本質的な部分で間違っていれば、効果がないだろう。

おかずが多いほど子供の成績が良い

また、夕方の6時から放送されている専業主婦向けのニュースで、驚くべき統計の嘘を見たことがある。そこでニュースとなっていたのは、「食事の時のおかずの数が多いほど、子供の学校の成績が良い」というものだった。そして、「おかずの量を増やして、子供の成績アップにつなげよう」と結んでいた。いくら専業主婦向けとはいえ、このニュースはひどい。

一般に、年収の高い家庭の子供ほど、学校の成績は良い。かけている教育費が違うのである。家庭の環境も良いだろう。そして、裕福な家庭は食事も裕福で、おかずの数も多いのである。だから、「おかずの数が多い家庭ほど、子供の成績が良い」のである。「おかず」が子供に影響を与えているわけではないのだ。

おかずの数は多いほうが良いだろう。でも、増やしたからといって、成績があがるわけではない。成績を上げたければ、もっと別なところに力を入れなければならない。

「おかず」と「成績」の関係を知った専業主婦は、テレビのインタビューで、「これから節約しておかずの数を増やすようにします」と言っていたが、たぶん子供の成績は上がっていないだろう。教育費を減らして、おかずを増やしたら、たぶん成績は下がる。

統計という嘘

驚きの結果」みたいなものの多くには,その裏に「あまり驚きではない理由」が隠されていたりします.IE のネタ記事を含めて今回ここに取り上げた事例に関しては,何となくその裏にある「あまり驚きではない理由」が推測できますが,ものによっては自分自身も騙されそうになるような事例もあったりします.

統計データを眺める際には,十分に注意して観察したいものです.