残業代を引き上げるというニュースが目に留まりました.個人的には,“サービス残業が増えるだけだよな”とか“残業代目当てで取りあえず残業する人がさらに増えそうだな”とかネガティブなことしか思い浮かばなかったのですが,取りあえずそれは別の話という事で,今回は労働環境を改善すれば少子化対策になるのかという事について.
記事を読んでいて一番疑問に感じた部分として,労働環境と少子化がどう関わってくるのかと言う事でした.
残業が減れば仕事と育児が両立しやすくなると期待されており、6月中にもまとめる政府の少子化対策にも「長時間労働の是正等の働き方の見直し」が盛り込まれる方針だ。
残業代を引き上げれば,企業が残業をさせなくなる,残業が減る,その時間を家庭に回すようになるという正のループを期待しているようです.一理はあるような気もします.最初に挙げたような理由で,そんなにうまくいくはずはないとも思いますが.
少子化の原因は何か?
ここで,まず少子化の原因について考えてみます.Simple -憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向な日々-では,少子化の原因を未婚者の増加としています.
合計特殊出生率の計算には、結婚していない女子高生までもが含まれてしまう。結婚していない負け犬も計算の中に入る。つまり、無配偶者が多くなれば出生率は低下するのだ。
では、実際に結婚した人は、何人の子どもを産んでいるのだろうか。実は70年代から現在まで、ほとんど変化はない。最近では若干減少傾向にあるが、30年前から平均すると2人強の子どもを女性は産んでいた。
・・・(中略)・・・
完結出生児数が2以上あるのにもかかわらず、合計特殊出生率が1.29という低い数字になっているのは、結婚しない女性が増えたためである。負け犬の増加が少子化の原因なのだ。産む子どもの数が減ったわけではない。
ここでは未婚者の増加が出生率を押し下げ,結果的に少子化問題が発生していると指摘しています.その為,少子化対策を考える際には未婚者対策も重要になってきます.
未婚者が増加した原因は何か?
さて,それでは次に未婚者が増加した原因について考えてみます.個人的には,未婚者が増加した原因の一つとして,結婚する理由が(ほぼ)一つになってしまったということが挙げられるのではないかと思います.
従来,結婚には様々な理由が存在していました.“家で家事をこなしてくれる人が必要だから”とか,”経済的に支えてくれる人が必要だから”とか.しかしながら現在では,コンビニなどの出現による利便性の向上や女性の労働環境の改善などにより,これらは結婚をするための理由としての意味が薄れてきています.そして,結婚する理由として“好きだから(愛しているから)”だけが残りました.
さらに,これと関連して私達の頭の中では,一般的に“結婚は好きな人と行うべき(恋愛結婚至上主義)”という規範も根付くことになりました.近年では,結婚の理由として恋愛がもっとも好ましいものであるとされ,それ以外の理由で結婚する人は批判されるという社会が形成されつつあります.
重要なのは、戦前は「恋愛」と「結婚」が分離していた点である。戦後この二つは結合してしまった。これを山田は「恋愛結婚イデオロギー」と呼ぶ。
- 結婚するには恋愛感情が必要
- 結婚を考えない恋愛は遊びであり不真面目である
- 恋愛したら結婚するのが当然だ
と考える思想、イデオロギーのことである。このイデオロギーは今も私たちに深く根付いている。「別に何とも思ってないけど、経済的にメリットがあるから、あの人と結婚するわ」なんて発言する人は、まちがいなく非難される。反動として、大量の「お見合い結婚」コンプレックスを抱く人が増えてしまった。「出会いは見合いだったけど、そのあとちゃんと恋愛して結婚したんだもんっ!」と訴える人もいる。
個人的には,“好きだから”結婚するという主張には,特に反論もありませんし結構なことだとは思います.しかし,その結果“好きな人がいないから”結婚をしないという人が増える事も自然な流れではないかなと思います.