短縮 URL の今後

Twitter、全リンクを公式短縮サービスt.coに変換へ | TechCrunch Japan と言う記事が気になりました.

短縮 URL 系のサービスにおいて Twitter は他とは比べ物にならないくらい大きな影響力を持っています.当初 Twitter では(長い?)URL を貼り付けて呟くと TinyURL で短縮されて表示されていました.そのため,短縮 URL 系サービスにおける TinyURL のシェアは圧倒的でした.しかし,TwitterTinyURL から bit.ly へと移行した後は,急速にシェアを落としていきます.

http://tctechcrunch.files.wordpress.com/2010/01/URLshare.png

・・・(中略)・・・
もう一つ付け加えるべきは、このデータがある24時間のスナップショットにすぎず、Twitterしか見ていないことだ(ただしTwitterは、世に出回っている短縮リンクの圧倒的シェアを持っている)。

bit.lyの市場シェアに何が起きた? | TechCrunch Japan

個人的には,Web 全体としては,短縮 URL への需要と言うのはそこまで大きくないと感じています.例えば,以下のように URL が自動で生成される場合(さらに言うと,生成される URL に日本語が混じり URL エンコードされた結果,一見すると訳の分からない URL が生成される場合)には短縮 URL は利用する価値があります.

しかし,それ以外の場合では,短縮 URL を用いるとそれなりに意味のあった URL(表示しているページのファイル名など)がまったく意味のない(短いだけの)文字列に変換されてしまい,逆に分かりづらくなるなどのデメリットも発生します.また,悪意のあるページへの誘導に使われる事もあるので,閲覧する側も短縮 URL が使われていない時よりもさらに注意を払う必要も出てきます(後者に関しては,URL 短縮サービス提供者側もある程度の対策はなされているはずですが).このような問題もあるため,短縮 URL 系のサービスと言うのは Web 全体としてそこまで需要の高いサービスではありません.しかし,Twitter で呟く事を考えると事情が変わってきます.

Twitter では,単一の呟きは 140文字以内に収めなければなりません.この字数制限が URL を短縮したいと言う要望(URL の分かりにくさよりも,URL に添える自分のコメントの方が大切と言う要望)を生み,短縮 URL 系のサービスへの需要へと繋がりました.上記の記事でも「短縮 URL系の サービスのシェアを調査する際に Twitter しか追っていない」と言う但し書きがありましたが,URL を短縮したいと言う需要は(現状では)かなり Twitter に特化されたものである事が分かります.そのため,Twitter が自分で URL 短縮サービスを保持する事は,他の 短縮 URL 系のサービスにとって死活問題となります.

Twitter 公式の短縮 URL サービスに比べて,何らかの付加的な価値があれば生き残る可能性はあります.例えば,bit.ly では短縮された URL の末尾に“+”記号を付与する事で,短縮元の URL が貼り付けられた Twitter 上の呟き一覧を見ることができ,自分の記事への言及を確認するのに非常に便利です(最近は,はてブコメントよりも多くのコメントを得られる事も多くなってきた).しかし,そうではない場合は,生き残るのは厳しそうだなぁと感じました.