先日、「ドラクエモンスターズ スーパーライト (DQMSL)」や「魔法使いと黒猫のウィズ」と言ったスマートフォン向けゲームで有料ガチャに対する返金騒動が起こっていたようです。
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有料ガチャと言えば、ガンホー社が提供しているラグナロクオンラインの有料ガチャである「ラグ缶(旧ラグくじ)」で以前から疑問、もう少し具体的に言うと「何の意味があるの?それ」と感じていた事があったので、今日はその話題について記載します。
前置き
まず、前置きとして簡単に「ラグ缶」の概要を説明します。
上記は、ラグ缶2012 September と言う 2012 年 8 月頃に発売されたラグナロクオンラインの有料ガチャの当選アイテム一覧で、「A賞」から「E賞」まで分類されている事が分かります。一覧を見るだけでも「A賞の方になると当たりにくいんだな」と言う事は何となく想像が付くと思うのですが、この有料ガチャのトリッキーな特徴として、前述したページの注釈に「当選確率はA賞<B賞<C賞<D賞<E賞となっています。A賞が最も当選確率が低く、E賞が最も当選確率が高い設定となっています。また、アイテムにはそれぞれ当選確率が設定されているため、A賞・B賞・C賞・D賞・E賞それぞれの賞の中でもアイテムにより当選確率に若干の違いがあります」と書かれているように「同じカテゴリ(≒レアリティ)に属するアイテムでも当選確率が違う」と言う点が挙げられます。
当初から「じゃあ、その分類には何の意味があるの?」とは感じていたのですが、まぁそう言うものだと言う事で、この有料ガチャは現在も継続中です(参考:過去のラグくじ/ラグ缶アイテム一覧 -Roween-)。
日本オンラインゲーム協会 (JOGA) への対応
ここから本題です。2012 年 9 月頃に、日本オンラインゲーム協会 (JOGA) 自主規制ワーキンググループから ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン (PDF) と言う文書が公開されました。これを受けて、ガンホー社からも対応を行う旨の告知が行われる事となります。
有料くじの表示に関して
- くじから入手可能なアイテムの一覧を表示いたします。
- くじの当選アイテムの中にレアアイテムを設定している場合は、その該当アイテムを表記します。
- くじの提供期間または提供数が限定されている場合は、その旨を表示します。
- くじの販売期間中に提供割合(確率)を変更する場合は、事前にその内容などを告知します。
- くじのアイテムが重複して入手可能な場合は、その旨明記いたします。
有料くじの設定に関して
JOGA発表の「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」への弊社の対応に関して
- レアアイテムの当選確率を理論上、くじ1回あたりの価格の100倍以内または50,000円分利用すれば、いずれかのレアアイテムが獲得できるように設定いたします。
- 上記設定を超える場合は、レアアイテムを取得するまでの理論上の倍率または推定金額を表示します。
- くじから入手できるアイテムの価値は、くじ1回分の金額と同等またはそれ以上に設定いたします。
この告知自体は「何かよく分からんけど、ガンホー自主規制がんばってます!と言う感じなのかなぁ」程度でしか見ていなかったのですが、この直後に発売された ラグ缶2012 October を見て思わず苦笑する事となりました。以下が、その当選アイテム一覧となります。
一覧に表示されているアイテム自体は毎月変更されるので、JOGA のガイドラインを受けて変更された点としては「A賞とB賞の横に(レア)と言う単語が表記されるようになった」のみとなります。参考までに、このページを最初に見た時の私の率直な感想としては「ユーザを舐めてるの?」になります。
この「レア」と言う表記に何の意味があるのかについては、本当にこの記事を書く直前まで分からず、この記事も当初「最初から形骸化させる気満々であるならば、何もしない方がまだマシだ」と言う主張にしようと思っていたのですが、前述した PDF ファイルの内容や告知内容を読み返す内にようやく「そう言う事なんだろうなぁ」と言う理由が見えてきました。
- レアアイテムの当選確率を理論上、くじ1回あたりの価格の100倍以内または50,000円分利用すれば、いずれかのレアアイテムが獲得できるように設定いたします。
上記ですが「くじ1回あたりの価格の100倍以内または50,000円分を利用された場合にレアアイテムのいずれか1つが計算上では当たるような確率で設定している」という内容となります。
JOGA発表の「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」への弊社の対応に関して
上記は、前述したガンホー社からの告知の追記部分になります。この文章で重要なのは「レアアイテムのいずれか1つ」と言う部分です。これは要するに「レアと表記したカテゴリの中で(少なくとも)最も当たりやすいアイテムの当選確率は 1% 以上である*1」と言う事を言いたいのだろうと推測されます(ちなみに、ゲーム内での流通状況を見る限り、A賞に分類されているアイテムの当選確率は 1% からは程遠いと予想される)。
ここからは個人的な感想ですが、何というか「言葉遊びかよ」感が拭えません。そもそも JOGA のガイドラインが、ラグナロクオンラインの有料ガチャのような「同じカテゴリ(≒レアリティ)に属しているのにも関わらず当選確率が違う」と言う事例を想定していたのかどうかも不明ですが、「いずれか」と言う単語を利用して「1 個でも基準を満たしていれば、他アイテムの当選確率はどんなに低確率でも OK(しかも、実際の当選確率は隠す)」的な運営を行うのは、かえってユーザの不信感を増大させるだけだろうと思います。
本ガイドラインは、一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(以下、JOGA)加盟事業者が「オンラインゲーム安心安全宣言」に立脚したオンラインゲーム(インターネットに接続された端末機器、主にパソコンによってプレイするゲームをいう)の企画・開発および運営・運用を実施するにあたり、各種法令の遵守および消費者保護の観点から、利用者の皆様が安心して楽しめるゲームサービスを提供するために策定されたものである。
ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン(PDF)
JOGA ガイドラインの文頭には「利用者の皆様が安心して楽しめるゲームサービスを提供するために策定されたものである」と言う一文が明記されています。現実問題として……的な部分はいろいろとあるのだろうとは思いますが、かつてラグナロクオンラインのユーザだった者としては、「もう少し、何とかならなかったんですかねぇ」と言う印象がどうしても抜けない事例の一つです。
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*1:ラグナロクオンラインのくじ1回あたりの価格は500円なので、どちらの基準でも満たすべき当選確率は 1% 以上となります。