気が付けば1ヶ月以上更新していませんでした。本当は別の記事で更新再開するはずだったんですが、まとまらないのでスマホゲームの話題。
ふとしたきっかけで 5 月初旬頃から「クイズ RPG 魔法使いと黒猫のウィズ」と言うスマホゲームを始めているのですが、このゲームの一部界隈で、ランダム型アイテム提供方式(所謂「ガチャ」)に関する騒動が起きているようです。
6 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2014/06/23(月) 23:20:15.43 ID:LnBoRh7N SSパレード4640連ガチャ【割引間中約101万円】 B率…約64% A率…約31% S率…約4 SS率…1% SSパレード対象A&S…約2% 属性別の最多と最少(A率…約30%の属性別内約) 【火】ユアン…約8.7% マナカ…約0.7% 【水】ルフレ…約7.9% サクヤ…約0.9% 【雷】 レラ…約6.7% ヒカリ…約0.7% 総数(2330回)での排出率ワースト ぞんざい少女 リルム(SSパレード対象)…0.02%(1/4640) SSパレード対象A&S排出率 総数(4640回) ルミィ …約0.34% エイジ …約0.28% セレサ …約0.28% ヴァルザイン…約0.22% リティカ …約0.22% リヴェータ …約0.17% クルス …約0.15% リルム …約0.15% ルルベル …約0.15%http://anago.2ch.net/test/read.cgi/applism/1403509926/
経緯を簡単に説明すると、ニコニコ生放送において「魔法使いと黒猫のウィズ」で提供されているガチャを 4,640 回(100万円以上かかる計算)も引いた人が出現したようで(参考:Twitter / amarone3847: 前のSSパレードを2日で4640連した結果纏めて頂きました)、これまでガチャに関連した様々な不満を抱きながら正確な確率を算出する方法がないために具体的なアクションを起こせなかった層が、絶好の検証データを得たと言う事で盛り上がっています(上記の表は、実際に引いた人とは別の有志の人が集計しているようです)。尚、ガチャを引いている様子は YouTube にも転載されています。
個人的にも、ガチャの確率に関しては投稿ユーザのバイアス(極端に良い結果、または極端に悪い結果ばかり投稿される傾向にある)が大きく、信頼性のあるデータを得る事はなかなか難しいと思っていたので、こう言った単一ユーザによる大量の連続した試行結果を得られるのは検証するに際して非常に貴重なデータであるように感じます。
課金アイテムの公平・公正感を保つために
これは「魔法使いと黒猫のウィズ」に限らないのですが、所謂「ガチャ」と呼ばれるものに対して、私が運営に是正して欲しいと感じるのは以下の 2 点です。
- レアリティ毎に確率を表記して欲しい
- 同じレアリティにも関わらず出現確率が違うと言った事はやめて欲しい
これらの内、特に気になっているのは後者となります。例えば、下記はガンホー社の運営する「ラグナロクオンライン」に関する個人的な指摘(文句)ですが、アイテムに対して何段階かのレアリティを明記しているのも関わらず、同レアリティの中でもさらに細かく出現確率を変えてしまうと、もはやレアリティの意味がないと言う問題があります。
上記は、ラグ缶2012 September と言う 2012 年 8 月頃に発売されたラグナロクオンラインの有料ガチャの当選アイテム一覧で、「A賞」から「E賞」まで分類されている事が分かります。一覧を見るだけでも「A賞の方になると当たりにくいんだな」と言う事は何となく想像が付くと思うのですが、この有料ガチャのトリッキーな特徴として、前述したページの注釈に「当選確率はA賞<B賞<C賞<D賞<E賞となっています。A賞が最も当選確率が低く、E賞が最も当選確率が高い設定となっています。また、アイテムにはそれぞれ当選確率が設定されているため、A賞・B賞・C賞・D賞・E賞それぞれの賞の中でもアイテムにより当選確率に若干の違いがあります」と書かれているように「同じカテゴリ(≒レアリティ)に属するアイテムでも当選確率が違う」と言う点が挙げられます。
当初から「じゃあ、その分類には何の意味があるの?」とは感じていたのですが、まぁそう言うものだと言う事で、この有料ガチャは現在も継続中です(参考:過去のラグくじ/ラグ缶アイテム一覧 -Roween-)。
ラグナロクオンラインの有料ガチャにおける「レア」とは何なのか? - Life like a clown
前述した「魔法使いと黒猫のウィズ」の 5000 回の試行結果を見ても、同じレアリティ(黒猫のウィズの場合、問題になるのはレアリティ「A」)にも関わらず出現確率が最大で 10 倍もの差がある事が分かります*1。「同じレアリティなら出現確率も同じ」の原則が適用されない場合、たとえレアリティ毎に出現確率が明記されるようになったとしても(同レアリティの中で好きなように微調整が可能なため)形骸化する可能性が非常に高いと言う危険性を孕みます。
もう少し具体的に見ていくと、「魔法使いと黒猫のウィズ」の事例でもっとも問題に感じるのは「A 精霊(パレード対象)」に分類されているアイテムの出現確率が、全体で見ても、軒並み最低レベルであると言う事かなと思います。「魔法使いと黒猫のウィズ」では、「ウィズセレクション SS パレード」と称して、定期的に「期間限定で出現するアイテム」を「ガチャ」の中に混ぜます。
これらの内、レアリティ最上位である「SS」アイテムの出現確率が極めて低いのはまだ納得できる(消費者の直感とも一致する)のですが、「レアリティ「A」の期間限定アイテムが、一つ上のレアリティであるはずの「S」よりも出現確率が低くなっている」のは個人的にかなり問題であるように感じます。レアリティ「A」(全体としては 30% 程度の出現確率)なら狙えるかもしれないとユーザを「錯覚」させ、「期間限定」と言う言葉でさらに射幸心を煽る形となっています。
本ガイドラインは、一般社団法人 日本オンラインゲーム協会(以下、JOGA)加盟事業者が「オンラインゲーム安心安全宣言」に立脚したオンラインゲーム(インターネットに接続された端末機器、主にパソコンによってプレイするゲームをいう)の企画・開発および運営・運用を実施するにあたり、各種法令の遵守および消費者保護の観点から、利用者の皆様が安心して楽しめるゲームサービスを提供するために策定されたものである。
ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン(PDF)
上記は、日本オンラインゲーム協会 の運営ガイドラインの一文です。「魔法使いと黒猫のウィズ」の運営会社である株式会社コロプラは日本オンラインゲーム協会にも ソーシャルゲーム協会 にも参加していないようなので、こう言ったガイドラインを直接適用できる訳ではありませんが、「各種法令の遵守および消費者保護の観点から、利用者の皆様が安心して楽しめるゲームサービスを提供する」ために、公正さに関してもさらに議論していって欲しいと願っています。
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*1:当初は「実装不備による偏り」と言う可能性も考えていましたが、出現確率の低いアイテムが 2 ちゃんねる等で「出にくい」と言われるアイテムと比較的一致しているため、現時点では、出現確率自体を変えているのだろうと推測しています。