CubePDF Utility リリース後に CubePDF Page の開発を再開した理由

現在、株式会社キューブ・ソフトでは「CubePDF シリーズ」として、いくつかの PDF 関連ソフトウェアを提供しています。この中でメインとなるのは、PDF 変換を行うための仮想プリンターである CubePDF、PDF ファイルに対してページ単位の結合、削除、順序の入れ替え、回転等の編集を行う事ができる CubePDF Utility、 PDF ファイルの結合を主眼に置いた CubePDF Page の 3 ソフトウェアで、それ以外のものは実験的な単機能ソフトウェアと位置付けています。今回は、この中から CubePDF Page にまつわる話を書いてみます。

CubePDF Page の誕生

CubePDF Page メイン画面

CubePDF Page は、ファイル単位で PDF ファイルを結合・分割するための単機能ソフトウェアとして公開されました。この際、PDF ファイルの結合については特に問題なかったのですが、「ある PDF ファイルの一部分のみを別の PDF ファイルとして保存する」と言う、抽出機能をどう実現するかで悩む事となりました。具体的には、抽出操作をどう言った GUI でユーザーに提供するか、と言う点です。

前述したように、CubePDF Page はファイル単位で操作する事を前提として設計されたため、「ある PDF ファイルの一部分」を表現できるような GUI にはなっていませんでした。この課題に対しては、ページ範囲をユーザに手動入力させるような項目を追加すれば対処可能にも思えましたが、実際に試作してみると、どうしても「トリッキーな GUI」と言う印象が拭えませんでした。そこで、CubePDF Page では、「結合」および指定したファイルを 1 ページ単位で別 PDF ファイルに保存する「分割」と言う機能のみを提供する方針としました。抽出については、公式には対応していないが分割と結合機能を組み合わせる事によって一応実現可能である、と言うスタンスです。

CubePDF Utility の誕生

CubePDF Utility メイン画面

CubePDF Page をリリースした時点で、「これ以上はページ単位の操作が必要になる。さらに言うなら、各ページのサムネイル画像も必要となるだろう」と言う結論になり、これが CubePDF Utility の開発に着手した動機となります。そして、CubePDF Page のリリースから 2 ヶ月の期間を経て、CubePDF Utility の最初のバージョンが公開される事となります。

CubePDF Utility の公開後 CubePDF Page は……

弊社では、私を含めた全員が CubePDF Utility を公開した事によって CubePDF Page は役目を終えたと考えていました。機能面で言えば、CubePDF Utility は CubePDF Page の全ての機能を有しており、CubePDF Page では難しい詳細な操作にも対応していたためです。そのため、CubePDF Utility の公開後、CubePDF Page はまったく更新されない日々が続く事となります。

ダウンロード数の推移

この認識を改める必要性に気付いたのは、何気なく CubePDF Page のダウンロード数を確認した時でした。上図は、弊社の主要 4 ソフトウェアの月間ダウンロード数の推移を表したものですが、CubePDF Page は CubePDF Utility の公開後も一定数のダウンロードが発生し続けている事が分かります。もちろん、CubePDF、CubePDF Utility、CubeICE には及ばない数でしたが、決して無視できない程度には毎日ダウンロードが発生していました。

確かに CubePDF Utility は CubePDF Page の全ての機能を有していますが、GUI 操作に柔軟性を持たせたりページ単位でサムネイル画像を表示した結果、CubePDF Page と比較すると動作が重いと言う点が挙げられます。単に 2, 3 個の PDF ファイルを結合したいだけであれば CubePDF Utility はオーバースペックであり、CubePDF Page で十分であると言えます。そして、そう言った需要は決して少なくはなかった事が前述したダウンロード数に表れているのだろうと予想されます。

こう言った背景があり、CubePDF Page は 2016 年頃に開発が再開されました。そして、一時期は CubePDF Utility とほぼ同等と言える水準までダウンロード数が伸びる事となり、CubePDF Page は現在も弊社の主要ソフトウェアの一つとして利用者数を拡大しています。機能の多さだけが全てではなく、利用用途によって最適な GUI は異なる事を改めて実感した出来事でした。