日本では,よく(高い偏差値の)大学に入学するには価値があるが,(だれでも卒業できるため)大学を卒業することには価値がないと言われます.私も似たような思いは抱いていましたし,今でも大学を卒業するよりも大学に入学する方が難しいという思いは変わりません.しかしだからと言って,本当に大学を卒業することに価値はないのでしょうか.
ということを思うに至ったのは,ある留学生との会話が元でした.
私「○○さんは,何で日本の大学に来たんですか?」
留学生「(情報科学の)博士号を取るためです。」
私「それは、日本だと博士号を取るのが簡単だからですか?」
留学生「違います、日本は博士号を取るのがすごく難しい。だから、日本に来ました。」
留学生「単純に研究をしたいという理由なら、アメリカやイギリスの大学に行きます。博士号が欲しいなら日本に来ます。」
大体こんな感じの内容でした。
博士号を取ることと,卒業をすることの難しさはまた別の話ですし,上の留学生の話は一例でしかありません.しかし,それでも上記のように日本で博士号を取ることに価値があると考えている人がいることは確かのようです.
日本でなくとも卒業することに大した価値がない大学はたくさん存在しますし,逆に日本においても卒業することに一定の価値がある大学は恐らく存在します(嘘か本当か知りませんが,博士号を○○ドルで買わないかという話もあったりするようです).結局,(ある意味当たり前ですが)卒業することに価値があるのは“日本かどうか”ではなく,その大学(またはその中の学部・研究科等)によって決まるのではないかと思います(日本では,そのような大学においても,入学する難しさ > 卒業する難しさにはなるのだと思いますが)。
だからと言って,例えば就活の面接官にその価値を認めろと言っても恐らくそれは難しいでしょう.なので,せめて(卒業したことに価値があるような大学へ行っていた)卒業生は,そのことに対してもう少し自信を持ってくれればな,と思いました.