結婚に関する雑感

時間切れと妥協

最近、ある女の子と話していて、「自分にとって『最後の相手』はいるのか」という話題になった。「私が最終的に出会うべき誰かはこの世の中にいるのかしら」と、その子はわたしにいった。

・・・(中略)・・・

「とってもだらしない終わり方だけど、たぶん俺の場合は、気がついたら、男として時間切れになってて、あれっ、終わっちゃった、っておもうんだろうな。で、その時につきあっている女の人がもしいたら、君が俺にとっての最後の人だ──まあ結果的にだけど──と考えるんだろうね」とわたしは答えた。その女の子にはちょっといやな顔をされたけれど(いかにもぱっとしない結論だし、夢がなさすぎる)やっぱりわたしは、なにごとも時間切れで終わるのだろう。

http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20070504

以前,知り合いと結婚について話したことがありました.その時に,“多分,(年齢的にも)次に付き合う人が最後になるんだろうなと思う(その人と結婚する)”とか“もし30超えてもお互いフリーだったら,もう結婚しよう.保険ね”と言った類の発言が出ていて(後者は冗談でしょうが),意外と皆ドライで冷静なんだなと意味もなくほっとしたことを覚えています.

一時期,恋愛結婚至上主義な現代社会において,ベストな結婚をするためには(結婚までに)何人位の異性と付き合った方が良いのだろうと考えたことがありました.ですが,そもそも,多くの人々は結婚した人が“自分にとってベストパートナーであった”と思っている訳ではなく,“時間切れだし仕方ないか”という思いを持ちながら“最後の人”と結婚するのかもしれません.

仕事など期限がはっきりと決まっているものならば,皆その期間中で仕上げるために多くの妥協もするでしょう.しかしながら,結婚など明確な期限が定められていないものは,“まだ時間はあるのだから,じっくり考えてベストな答え(パートナー)を探そう”と考えてしまいがちです.その結果,もう既に時間切れになっていることに気付かず長考し,バッドエンドを迎えてしまいます.

“私にはこの人しかいない!”と思えるような人と出会い結婚したのならば,それは素晴らしいことでしょう.ですが,なかなか世の中うまくはいきません.結婚においても,与えられた残り時間を認識して“ベストではないがベターな”選択をすることが必要なのでしょう.

結婚に残されたもの

それにしても,なぜ人々はそんな妥協をしてまで結婚をするのでしょう.これも先の知り合いとの会話の中で出た発言なのですが,“別に結婚自体はどっちでも良いんだけど,周りからそういう目(結婚しないような人)で見られるのが嫌”と言うものがありました.

晩婚化・未婚化が著しい現代日本ですが,まだまだ未婚者に対する世間の目は厳しいです.別の知り合いとの会話中で“勤務先に50台のどうしようもない先輩がいてさ.ちなみに独身です.しかも×ゼロ.”と“無能な人”と“未婚”をことさら結びつけて強調する場面がありました.こういった風潮は正直うんざりすることもあるのですが,これが晩婚化・未婚化を止める最後の砦なのかなとも思います.

女性の社会進出も昔よりも随分改善され,男性に経済的に依存しなくても生活できるようになりました.一方で,家電機器の発達やコンビニなどの出現により家事に対する敷居もどんどん低下しています.その結果,良いか悪いかは別として,結婚の中に存在した“分業”という意味は失われつつあります.また,“家”を重視する風潮の薄れや見合い結婚の衰退に伴って,外部(両親や会社の上司)から結婚を強いられる機会もどんどん減少しています.

結婚が従来持っていた意味,役割は,現代においてはほとんどなくなりつつあります.その結果,現在では結婚するかどうかを決定する要因のかなりの部分が“単純にその人が好きかどうか”に委ねられています.“そして愛だけが残った”と言えば聞こえはいいですが,皆が皆そこまで決断できるほどの人に出会える訳でもありません.

ニュース番組(朝日ニュースター、「ニュースの深層」)で、人口問題に詳しい鈴木りえこが、「日本の女性は自由を手に入れた。しかし、結婚せずに子どもを産むことだけは、まだ許されていない」と言っていた。

結婚はしたくないけど子どもだけは欲しい、と願う女性は少なからず存在する。また男性に場合も、子どもが欲しいならば結婚するしかない。

子どもが欲しくないならば必ずしも結婚は必要ではない。他の条件によるだろう。だが子どもが欲しいなら、結婚はほぼ確実に必要である。

http://simple-u.jp/pd200309.html#2003-09-19

現代の日本においては,子どもを産むためには結婚する必要があります.そのため,(少子化が深刻な問題となっている現在では)社会にとっても結婚はしてもらう必要があります.その意味では,結婚を愛(当人の自発性)だけに任せてしまうのは非常に危険です.

私は,(現状では)結婚するつもりはありません.そのため,(考えが変わって結婚しない限りは)いずれ自分にもそういった世間の目は降り注いで来るでしょう.結婚していない人に対してマイナスイメージを持ちやすい現在の風潮など早く変わってしまえばいいのに,と良く思います.ですが,世の中がうまく回っていくためには,こういった風潮も必要なのだろうなと感じます.