更新性の低さが「卒業アルバム化」を招く
例えば、私は2005年からmixiを利用している私のソーシャルグラフは、学生時代(中学・高校・大学)の先輩、後輩、同級生で構成されています。当時は仲の良かった友人たちも、ライフステージの変化とともに少し疎遠になってしまいました。私の場合、mixi上の人間関係は、ちょうど卒業アルバムを見て懐かしむような関係性に変化しています。
「卒業アルバム化」するmixi初期ユーザーのソーシャルグラフ(イケダ ハヤト) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
mixi の更新性の低さ(マイミクの顔ぶれがなかなか変わらない)を卒業アルバムに例えたのは非常に上手いなぁと感じました(直後の Facebook との比較の件は「単に 2005年の mixi の状況が今 Facebook に来てるだけじゃないかなぁ」と言う気もするので置いておきます)。
似たような状況になるものが他にも結構ありそうな気がしたので、いくつか列挙してみます。
携帯電話のアドレス帳
まず始めに思いついたのが携帯電話のアドレス帳でした。携帯電話のアドレス帳を眺めてみたのですが、「あいつ今なにやってんのかなぁ」と感じてしまうような名前が並んでいました。電話番号やメールアドレスを変更する際の最大の懸念点は、いつも「このアドレス帳のどこまで知らせよう」になってしまいます。
携帯電話については、学生時代は学部/学科/サークルの同期や様々なきっかけで知り合った友人と電話番号の交換を行う事は日常茶飯事だったのでアドレス帳は更新され続けていました。しかし、現在では、交換するものは名刺や TwitterID、URL と言うケースが増えてきており、携帯電話の情報を交換すると言うケースは稀になってきました。大抵の場合は名刺に電話番号が書かれてあるのですが、それを自分の携帯電話のアドレス帳に追加するケースは(個人的には)ほとんどないので、更新性がどんどん低下し「卒業アルバム化」しています。
オンラインゲーム (MMORPG) のクラン/ギルド
私がやった事のあるオンラインゲームは ラグナロクオンライン だけなのですが、このゲーム内の自分が所属しているギルド一覧を見るときもたまに似たような感想を抱きます。特に、目的なく集まっているだけの形で作られたギルドの場合はこれが一層顕著になります。
逆に、GvG(別のユーザが作成・運営しているギルドと戦うシステム)を行うようなギルドの場合は、システムの関係上いったん所属メンバーを抜くと言う事を頻繁に行うので、申請/解除が頻繁に発生し「卒業アルバム化」と言う現象は起こりにくいと言う特徴があります。
「解除」は必要に迫られなければ行われない
全体として思うのは、メンバの「追加」は何となくと言うか割と緩い動機付けで行われるのですが、メンバの「解除」にはそれなりに強い動機がないと行われないと言う事です。twitter などはかなり追加/解除を行いやすいサービスですが、twitter においてもフォローの解除は
- 発言がムカつく
- フォロー数の上限に達しているので整理したい
のように強い動機がないと行われないように思います。「何となく解除する」よりも「何となく残しておく」の方が選択肢として取られやすいのでしょう。
そのため、更新性を高めて「卒業アルバム化」を防ぐと言う事を考える場合、「追加」しやすいようなシステムは前提として、その他に
- ストックできる限界数をかなり大きくしておく
- ユーザに「解除」を促すような何かを付与しておく(例えば、先のラグナロクオンラインの例だと、ギルドの人員上限と GvG のシステムの関係がこれにあたる)
のどちらかを満たす必要があるのかなと言う気がしました。