ラグナロクオンラインは既にどうやって最期を看取るかと言う段階

パズル&ドラゴンズ(パズドラ) で絶好調のガンホー社ですが、その一方で、かつてのメインコンテンツであった ラグナロクオンライン(RO) が悲惨な状況となっています。下記は、jRO の接続人数を書き写すスレ にて毎日 23 時に定点観測されているものから 毎年 7 月最終週の日曜日のものを抜粋したものですが、ここ数年、接続人数の減少に歯止めがかからず(今年に入ってから特に酷くなっている)、もはや「どうやって盛り返すか」と言う段階ではなく「どうやって最期を看取るか」と言う段階にまで落ち込みつつあります。

日時接続人数増減数増減割合
2006/07/30 67,480 - -
2007/07/29 49,944 ▲17,536 ▲26.0%
2008/07/27 49,660 ▲284 ▲0.6%
2009/07/26 46,913 ▲2,747 ▲5.5%
2010/07/25 49,294 2,381 5.1%
2011/07/31 38,716 ▲10,578 ▲21.5%
2012/07/29 31,933 ▲6,783 ▲17.5%
2013/07/28 18,726 (15,232) ▲13,207 (▲16,701) ▲41.4% (▲52.3%)

※2013/05/21 より 期間限定の無料サーバ がオープンしている為、それを含めた接続人数と既存の有料サーバのみの数を併記しています。

2007〜2010 年頃は比較的安定していた接続人数ですが、2011 年頃から再び減少傾向に転じ、直近 1 年の接続人数の減少幅に関しては目も当てられないような状況となっています([追記] 接続人数に関して補足すると、絶対数に対してどうこうと言うよりは「ここ 1 年で 16,701 人(総数の半分以上)が減り、しかも、今現在もその減少速度が鈍っていない」と言う事実をもって「最期を看取る段階」と表現しています。接続人数の絶対数だけを見ればまだまだ大丈夫そうですが、後 1 年弱で接続人数ゼロになる減少ペースを今現在も維持しています)。

ガンホー社の 平成25年12月期 第2四半期決算短信 (PDF) によると PC オンライン事業の不調原因については、「スマートフォン市場の急拡大や、携帯型家庭用ゲーム機のオンライン化が進むとともに、ゲームユーザーのライフスタイルの変化などから、前四半期に引き続きユーザーがPC以外の端末へ移行する動きが見られ」と記載されています。

しかし、少なくともラグナロクオンラインのここ 1 年の大幅減少(有料サーバで前年同月比 52.3% 減)に関しては、「ガンホー社のバランス調整の失敗、および長期間に渡る(その状態の)放置」に起因すると言わざるを得ません。この点については、ガンホー社も公式に認めています。

本来、これらの問題を確認してから直ちに是正すべきところを、抜本的な改善だけでなく、一時的な対応を行うまでにもお時間をいただくことになり、誠に申し訳ございませんでした。

獲得経験値効率を是正するための各種調整について| ラグナロクオンライン公式サイト

ちなみに、上記の「獲得経験値効率を是正するための各種調整」自体も概ね「失敗」と言う様相を呈しているので、接続人数に関してはさらに悲惨な状況で推移していく事が予想されます。

ゼロからやり直したい病

ラグナロクオンラインは、過去に 2 度の(ゲームの根幹部分から変わってしまうような)大規模なシステムリニューアルが行われており(通称「R」および「RR」)、これらのリニューアルが接続人数の推移にも大きな影響を与えてきました。

※グラフは ●jRO の接続人数を書き写すスレ● #33 に投稿されたものを一部編集(「RR 告知」の項目を追加)

具体的には、どちらの場合も「システムリニューアルの告知*1 で減少し、実装直後にいったん盛り返すが、その後再び減少する」と言う形になっています。1 回目のシステムリニューアル(R化)に関しては上昇傾向に転じる期間も見られましたが、2 回目のシステムリニューアル(RR化)後は一貫して減少し続けています(右端でやや盛り返しているのは、期間限定の無料サーバの接続人数と合算しているため)。

1 回目のシステムリニューアル後に関しては、ガンホー社もバランス調整に問題があったと感じたためか、「毎月 1 回モンスターの配置、および経験値を調整する」と言った試みを続けていました(参考: 2011/04/122011/05/242011/06/212011/07/262011/08/232011/10/252011/11/222011/12/202012/01/242012/02/212012/03/212012/05/012012/06/052012/07/172012/08/282012/09/252012/10/23 )。これらの変更は、個々を見れば十分な調整とは言えず不評なものも多かったのですが、いくつかは人気モンスター(人気マップ)に成長するような成功事例も含まれており、個人的にもこう言った姿勢は評価していました*2

しかし、2 回目のシステムリニューアルで、こう言った 1 年半にも及ぶ地道なバランス調整も全てが水泡に帰すことになりました。そして、2 回目のシステムリニューアル後は、ゲームバランス調整に関しては、基本的には長期間の放置状態が続く事となります*3。2 回目のシステムリニューアル後に問題になっていたのは、主に「経験値の設定を 1 桁間違えた(多い)んじゃないか?」とも思えるようなごく一部のモンスターの存在だったので「ゲームバランスを考えるなら、半分でも何でもいいから取りあえず問題となっているモンスターの経験値を減少させろ」と言うユーザの声もありましたが、そう言った声も完全に黙殺されてきました。

そのような放置状態に嫌気が差したユーザ、異常な経験値を持つごく一部のモンスターを狩り続けてレベルをカンストさせて飽きたユーザ、ようやく修正された内容が現在のゲーム内の実態をまったく考慮していないもので失望したユーザなど様々な理由で、残念ながら、今現在も接続人数の減少傾向が加速する結果となっています。

まったく信用されていないガンホー社の運営チーム

ネトゲ (MMORPG) と言うものは多かれ少なかれそんなものだと思いますが、ガンホー社のラグナロクオンライン運営チームもユーザからの信用度はほぼゼロと言う状態となっています。具体例を挙げると枚挙にいとまがありませんが、最近の事例で最も酷いと感じたのは ラグナロクオンライン ファン感謝祭2013 に関連する出来事でした。

このファン感謝祭では、RJC2013記念ラグくじ と呼ばれる所謂「ガチャ」が売り出されたのですが、この「ガチャ」で当たるゲーム内アイテムの一つ*4翌日の修正により、その価値が著しく低下(使えないアイテム化)してしまった と言う事例が発生しました。しかも、この日には「今後の予定」として翌日に修正される内容も含めた発表が行われたにも関わらず、その発表内容には上記のような不利な内容は一切含まれていませんでした。

すなわち、「ガチャ」で当たるゲーム内アイテムの中で、翌日にはゴミ化するような修正が確定していたにも関わらず意図的にその事実を隠し、そして「ガチャ」の発売自体は予定通り行った事になります。MMORPG には仕様の変更はつきものとよく言われますが、さすがにこのレベルまで来ると詐欺だと言われても仕方ないのではないか、と言う感想を抱いた事を覚えています。

こう言った酷い事例に度々遭遇する事もあり、運営チームに対するのユーザの評判はすこぶる悪いのが現状です。

ラグナロクオンラインは思い出深いゲームだが……

個人的には、ラグナロクオンラインは仕事においてもプライベートにおいても重要な繋がりを築いてくれたゲームで非常に思い出深いのですが、昨今の状況を見るに、残念ながらそろそろ潮時だろうと言う印象を強く抱いています。冒頭にも述べた通り、前年同月比で接続人数半減と言う事実やゲーム内のコミュニティを実際に観察している限りでは、もはや「どうやって盛り返すか」と言うレベルではなくなりつつあるので、仮にこれからのバランス調整がうまくいったとしても*5 去った人々を呼び戻すのは困難だろうと思います。

ラグナロクオンラインに関しては、数年前からシステム的な限界に行き当たり「10 年後か、下手すると 5 年後にはもう存在しないだろうな」という予感を少しずつ大きくさせてはいました。しかし、ガンホー社の直近 1 年の運営によって「10 年後には存在しないだろうな」から「来年存続しているかどうかも分からない」レベルにまで後退した事には失望と怒りを禁じ得ません。

ガンホー社におかれましては、一刻も早くパズドラを含むスマホ部門が分社独立し、旧本体についてはラグナロクオンラインのサービス終了とともに市場から退……(サーバーとの接続がキャンセルされました)

*1:1回目のシステムリニューアル(R化)については、韓国で先行実装(kRO-R)される事によりその内容が知れ渡る事になりました。

*2:個人的には、ガンホー社の運営を最も評価していたのがこの頃であったように思います。最初期が酷過ぎたと言う事実もありますが……。

*3:2013/03/19 に 1 度だけ同様のモンスター調整が行われました。

*4:ブラッディティアーズ[3]

*5:そして、経験上、その可能性は非常に低い。