良いものを作ると売れなくなるジレンマ

こういうビジネスモデルのどこが「便利」になったのか、私にはうまく理解できない。むかしは家電なんかは買った店に持ち込むと、おじさんがその場でばらして、「あ、ここのパッキンがへたってるわ」というようなことをぶつぶつ言って、さくさくと直して「そうだな300円ももらっとくか」というふうにしてものの10分くらいで片が付いたのである。どう考えても、昔のビジネスモデルの方がコストパフォーマンスが高いように私には思われるのであるが、私は間違っているのであろうか

http://blog.tatsuru.com/2007/11/01_0936.php

実家に電子レンジがあるのですが,この電子レンジ,私が生まれる前から故障することもなく稼動し続けています.つまり,もう30年以上現役で動いていることになります.上の記事で言われている通り昔の製品の方が(消費者にとっては)コストパフォーマンスが高いのだろうと思います.

では,なぜ現在のような状況になってしまったのか.これは,恐らく(製品を提供する)企業が当初から購入(買い替え)から得られる利益のみしか考慮に入れていなかったからだろうと思います.上記の“そうだな300円ももらっとくか”という発言を見ても,製品を提供する側は“修理から利益を得る”ということをほとんど考慮にいれていないことが分かります.ひとつの製品で利益を出し続けるつもりであるならば,修理費から得られる利益についてももっと真剣に検討し,適切な値段を設定すべきであったはずです.

企業は購入から得られる利益しか考慮に入れていません.そのため,消費者には定期的に買い換えてもらう必要がある訳ですが,良い製品を作ると消費者はその製品に満足し,故障も起こらないためなかなか買い換えようと言う気になりません.その結果,企業は“良いものを作ると売れなくなる”ジレンマを感じ始めます.現在の製品は,そのジレンマに対する企業の回答だろうと思います(耐久度を落とし,代わりに派手な機能を付与して購入意欲を喚起させる.修理による利益は考慮に入れていないので,サポートは早期に打ち切り,対応もあまり良くない).

“どこが便利になったのか?”
“別に便利になってはいない.こうしなければこっちがやっていけなかっただけだ.”